俺はタイミングが悪いらしい。
俺らしか来ない筈の屋上に梓が他のクラスの男といて、入り口で思わず足を止めた。
梓が丸くなり、人当たりが良くなったせいでここ最近こう言った事が増えた。
呼び出されたら俺に言えと言ってるのに、絶対に言って来なくて苛々する。
やましい事でもあるのか。
「付き合って欲しい」
その男は梓を真っ直ぐ見てそう言った。
梓は一瞬驚いた顔をして、少し照れたように目を逸らす。
「あー、ありがと…」
ありがとうって、あいつは本当に人を誤解させる言い方をする。俺の気持ちも知らないで。そんな断り方じゃ相手は肯定されたと勘違いする。それとも肯定なのか、苛々してその場に向かおうとした。
「でも俺、大事な奴いんだ…悪いな」
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