空飛ぶニンジンいつも通りに仕事を終えて。
いつも通りに自宅に戻り、口うるさい同居人と夕食を共にして。
いつも通りに寝支度を済ませて、頭から布団をかぶって眠りについたはずだった。
だから、やってくるのはいつも通りの朝になるはずである。
しかし、なんだかやけに右腕のほうが重い。力仕事を昨日した覚えはない。
おまけに同居人と今までに聞いたことのないような子供らしき声がする。
思わず、寝返りを打ち、左腕で声の主…きっと同居人であるカーヴェの腕であろうものをつかんだ。
「フギューーーーー!!!」
なんだ?この声は。しかも腕にしてはやけに手触りがやわらかい。仕方なく目を開けると目の前に、眼鏡をかけたニンジンがいた。
「・・・?」
ニンジンと表現したが、俺がつかんでいる部分の下に、帽子のようなものの続きがあり、眼鏡らしき飾りがあり、小さな人間の胴体のようなものが存在する。
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