流砂の中で「俺が生まれた時、どうだったか、だって?」
「うん、瑠璃にーちゃんなら、覚えてるかな、と思って。」
「あんまりおもしろいものでもないぞ。 あ、そうだ。アイツと真珠には言うなよ。」
生まれた時…生まれた時…ぼんやりとした記憶を手繰り寄せて、言葉にすることは難しい。
気がつくと、砂だらけの場所にいた。
頭や顔に砂がかかる感触がして、目を開けた。
それから、自分に手と足があって、頭があることに気がついた。胸に宝石がくっついてることにも。
上を見上げたら、真っ暗だった場所が一カ所だけ明るかった。
気になって、体を起こして、歩いていた。そこまで何度も砂に足を取られて何度も転んでた。転んでいるうちに歩き方はなんとなくわかってきた。
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