照準器を覗く瞳「でっ……っか!」
僕の部屋に入るなり、カズサはそう驚いたあと、
「え? これなら俺も寝れない?」
と聞いてきたが、
「駄目だ、お前は床だ」
僕はぴしゃりと言い放った。
同期大勢との酒も交えた会食の後、『帰るのだる〜い、お前の部屋近いだろ? 泊めて?』と、無遠慮に肩を組み擦り寄ってきたカズサに
「床でいいなら」
とつっけんどんに返したものの、それにも『おっけ〜い!』と陽気に笑う、自分より背丈が勝る相手を半ば引き摺って帰宅した自室で──
僕が快適に日々眠るため、かなり無理をして購入した、クイーンサイズの寝台を見たカズサの反応が、先の言葉だ。
「床でいいと言うから泊めてやるんだ」
「え〜? でも俺寝相はいいよ?」
「関係ない、これは、僕がひとりでゆっくり眠るためのものだ」
1550