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    ottotto503

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    ottotto503

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    エドウィン ラッシュバレー

    ##エドウィン

    ちょっとひっくり返ったような声が出たのは、日が暮れそうなラッシュバレーでの出来事だった。
    ふぇ、と、なんとも間抜けな声をだしたあたし。そのあたしを見て笑うパニーニャ。

    「あはははは、何その顔!」
    「だだだ、だって!」
    「何?やっぱり久しぶりなの?」
    「久しぶりも何も、1ヶ月音信不通だったのよあいつ!」
    「なーんだ、いつものことじゃん」
    「いつものことでもダメなものはダメ!」

    あたしが変な顔をしているのも無理はないと思う。
    パニーニャの言う通り、いつもの通り散歩に出かけるように旅立ったエドが、今しがたここに寄ったというのだ。
    生憎、あたしはその時買い出しでラッシュバレーをうろうろしている最中だった。…決して最新モデルがあったから寄り道をしていたなんてことはない、決して。
    しかも繰り返すけど1ヶ月音信不通。あのね、いくらあたしが寛大な女の子だって言っても許せることと許せないことが…

    (って、今そんなことを言っている場合じゃない)

    何はともあれ、帰ってきたんだ。無事に帰ってきたんだ。

    「どーせウィンリィ、寄り道してたんでしょ?」
    「…。…で、エド待とうとしなかったの?」
    「うん、なんかその辺り散歩してくるって言ってどっか行ったけど」
    「もう…」
    「あいつなりに邪魔したくなかったんじゃない?あんたの仕事」
    「…」
    「全く、いい旦那さんに成長しましたね〜」
    「からかわないでよもう…」

    慌てて買って来た部品を棚にしまう。幸い最後のお客さんが帰ったあとだから、今日はもう帰れるはず。
    確認をしようと後ろを振り返ると、ガーフィールさんが待ってましたとでもいうような顔でウインクしてくれた。
    両手を合わせてお礼を言ってから、荷物をまとめる。

    「ここで待ってたらきっと帰ってくるよ?」
    「いいの、あいつどっかで機械鎧技師に捕まってるかもしれないし」
    「あはは、それもそうか」
    「あんなでかくて存在感あるやつ、そうそういないからすぐ見つかるはず…」
    「へー、でかいねえ」
    「…何よ」
    「なんでもありませーん、ほらさっさと行く!」

    パニーニャの言わんとしていることは、ニタニタの顔を見たらわかる。…わかる。
    だけど、知らんぷりして走り出した。

    エドが機械鎧技師に捕まってるかも、なんて正直関係ない。
    恥ずかしいけれど、照れくさいけれど、待てないの。あたしやっぱり、大人しく待っているのが嫌いなの。
    あいつが来てくれたのなら、あたしもあいつを迎えに行きたいから。
    エドに、会いたいから。

    (エド)

    エドが大体散策しそうな道を小走りで駆ける。
    元気かな。風邪とか、貰ってないかな。今度はどこに行って来たのかな。どんな人と出会ったのかな。
    どんな気持ちで帰って来てくれたのかな。一緒に帰ろうとか、思ってくれたのかな。

    お土産もいらない。甘い言葉もいらない。
    はやく、はやくあんたの笑った顔に会いたい。

    エドに、会いたい。
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    ottotto503

    DONEはつこい 無印ED後?何事もなかったかのように服を纏い直して、何事もなかったかのように呼吸を整える。月さえどこかに隠れた真夜中、ひっそり元通りの姿に戻っていく私の様子を、彼は服も纏わずベッドに腰掛け黙ったまま見つめている。

    ここで眠ってもいい? 朝まで一緒にいたいの。一緒に過ごしていたこと、ばれてしまっていいんだよ。悪いことは何もしていないのだから。

    頭の中で暴れ、駄々をこねる本音に蓋をして、元に戻った私は彼を振り返る。彼は「戻る準備」のできた私を、私とおんなじ作り笑顔で出見送る。

    「……じゃあ戻るね」
    「…ああ」

    引き止めて。せめてもう少しだけ一緒にいようよ。お日様が目を覚ます前には戻るから、それまで隣でまどろみを感じさせて。

    かちこちの笑顔を構成するわがまま。戻ると言いつつ部屋の出口を振り返れないことが、その強さを物語る。

    彼の目を見る。彼は私の目を見てる。言葉で表現するのが下手な私たちは、視線で気持ちをやり取りする。受け取る気持ちが、受け取る想いが、正しいのかどうかもわからないまま。

    このままだと本当に、時間が止まって動かない。お月様も眠れないし、太陽は朝を連れてこれない。小さなため息と 1050

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