赤く、死んだ海の前で少女は語る何者かに少女は発見され、病院に運び込まれた。「可哀想に、事件に巻き込まれたそうだ。」
そんな声が聞こえ、目が覚める……
「……痛…」
ずきんと頭が痛む。
「私…なんで病院に…?」
「はっ、ユートさんは」
周りを見渡しても、いつもそばに居てくれるはずの存在は居ない。
換気のために開けられたと思われる、海が見える窓のカーテンが柔らかく嗤うように揺らいでいた。
規則的であるはずの漣の音が不規則に聞こえて、それは私を次第に不安にさせた。
私はナースコールをする。
「どう致しましたか?」
「長身の…黒髪の…あ、あの…あ」
「……まだ混乱されているのですね。無理もありません…後で何か」
音が頭に入ってこない、視界が歪んでくる。
「あ…あああ、何か、何か、分か、ら、なくて、」
1889