助言の先にあるもの「先生に相談したい事があるんだけどさ」
そうタルタリヤに言われて、連れて来られた瑠璃亭の個室。食事が進んで一息付いたところを見計らい、鍾離の方から火蓋を切った。
「珍しいな、公子殿が俺に相談事をするなど」
「確かに、自分でもそう思うよ」
どこか疲れた様子で言うタルタリヤに、本当に珍しいなと内心驚く。本格的に聞く為に、鍾離は持っていた盃を音を立てずに卓上に置いた。
「内容によっては答えることは出来ないが、それでいいなら聞こう」
「まぁ、込み入った話じゃなくて…プライベートの事なんだけどさ」
「ふむ、私的な事?」
死闘を愛する彼の事だから手合わせの話だろうか?と考えたが、すぐに否定する。手合わせにしてはあからさまに様子がおかしい。いつものタルタリヤなら笑顔で躊躇いなく真っ直ぐに手合わせを鍾離に強請ってくるはずだ。
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