好きな人が相手だとね※にょたぎゆで根本さねぎゆ
鬼化して散々暴れ回っていた炭治郎は今やすっかり大人しくなって横たわっていた。これで本当に終わったのだ。長く苦しんだあの日々が。義勇はほっと息を吐きながら甘やかすように体を擦り寄せた。可愛い弟弟子が生きている喜びを全身に纏わせて頬擦りをした。
後に炭治郎は「あの時天国のような香りがしていたからやっぱり死んだんじゃないかと思った」と語った。
散々炭治郎を撫でた後に義勇は勢いよく隠を見た。隠は目だけでも分かるくらい怒っていた。「大人しくしてって言ってるでしょーがーー!」言葉で分からないならとジェスチャーも交えている。それでも義勇は言うことを聞かなかった。
「生き残っている者は?」
瞳には涙が膜を張っていた。縋るような、はたまた祈るような問い掛けに、隠も目を伏せながら首を振った。義勇は唇を噛んだ。皆死んでしまったのか。守れなかった、と悲しみに打ちひしがれていると、別の隠が義勇の前に片膝をついた。
1430