Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    haru55machi55

    @haru55machi55

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 33

    haru55machi55

    ☆quiet follow

    東京心覚について思ったこと。どうしても桑名のいたあの世界が気になる。

    宇宙兄弟の月から地球への帰還ミッションを読んでいて、ふと思った。
    滅びたもの、存在しないものに対して「もう誰も帰ってこないのかな」とは言わない。背には常に月。アスファルトを割っていたあそこはやっぱり、未来の地球なんだと思う。
    例えば、パンデミックで人類が残り数%になり、月またはスペースコロニーに移住してしまい、地球という星そのものが「放棄された世界」になってしまった時代。
    植物に覆われてしまう、という表現で思い出すのは、ブライアン・W・オールディスの『地球の長い午後』や、池上永一の『シャングリ・ラ』。あれは結構な未来の話だった気がするけど、あの世界は人がいなくなってどれくらい経つんだろう。
    桑名が言う「ここは陽がよく当たるし、雨もきれいだ」というのは、循環する水が、人がいなくなって浄化されているということ。

    彼らはあそこへ何をしに行ったのだろう。
    「放棄された世界」というカテゴリーでの任務ならば、調査。観測。通常、正史に影響を及ぼす恐れがある分岐は、その根本を経って・消すまたは閉鎖するまでが任務。だけどあそこには誰もいなくて、なぜか花を植えて帰ってきた。「放棄された世界」が、そのままの状態で「ただそこにあること」を確認しに行ったのだろうか。
    正史に影響する人間はいない。歪みがない。
    ただそこに草が生え風が吹く。
    人が作ったものがただ異物のように取り残されている。

    桑名があそこでアスファルトを割っていたのは、任務などではなく彼の意志なのではないか。豊前がそれを理解して手伝っていた。桑名らしい「大地も息したいよね。お日さま浴びたいよね」っていうやさしさ。だけどそれだけじゃなくて、彼は大地に語りかける。
    「忘れないでね。覚えていてね。お日さまにほら、おはよう」
    まるで新しく生まれた子供に何かを教えるお母さんみたいに、語りかける。

    放棄された世界。そこはもう要らないと線を引かれてしまうということ。忘れたいと思って、棄てた。道路も風化し、植物に覆われて、かつて人がこの星に生きていたことも忘れ去られていく。
    でも、地球という星は変わらずそこにあって、大地は命を育み生き続けている。誰も覚えていなければ、なかったことになってしまうのか?
    そんなことはない。
    けれども、桑名は大地に「忘れないでね」と伝えてくれる。行ってしまった人たちに。ここであなたが生きたこと。ずっとそこにある大地に。ここで人とともに生きたこと。

    いつか戻ってくるのだろうか。戻ってくるといいなと、そう思って植えた気がする。山吹の花言葉は「ずっと待っていました」。いつか地球へ帰ってくる人を、吹く風と揺れる一面の山吹畑が迎えるのだろうか。
    人はまた繰り返すかもしれない。それが歴史。みんなぐるぐるの中にいる。それは自然の循環であり、そして歴史の繰り返しでもある。そうして続いていく。人も歴史も刀剣も。星も。

    もう私には関係ないと、こんな所に居られないと、放棄して世界を閉ざさないでほしい。いったいどこで間違ったのか…そう思うけれど、正史に対してあってはならない歴史なんかじゃない。結界は人の心の中にしかない。
    もし今そう思わざるを得ないとしても、桑名は覚えていてくれる。水心子くんとはまた違う、やけに大きなスケールで大丈夫と言ってくれてる。

    そういう気持ちで問わず語りをもう一度聞くと、私たちだけじゃなく、地球もそう思って、問わず語りをしたかったりするんじゃないかな。あれは私たち目線よりも、もっと大きなものも包括した歌なんじゃないかな、それを刀剣男士が汲んで、人のかわりに、星のかわりに歌ってくれたんじゃないかな〜と思ったりもした。
    そんなことをつらつらと思ってみたり。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😊🌱🌷🌺🌏💐🌾🌾🌱👏🌾👏👏👏💯👏💛
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works