シュトーレン ハロウィンも終わり、世は既にクリスマスの足音が賑やかに近づいてくるそんな頃。
『しゅとれん?』
『そう、シュトレン。』
聞き慣れないその単語に首を傾げる俺に、レシピを渡しながら先輩が教えてくれた。
曰わく、サワー種にナッツやドライフルーツをあわせて作られるドイツ由来の伝統的なクリスマス菓子で。
クリスマスを待つ『アドヴェント』の期間に少しずつ食べる為に日持ちするように作られてきたということだった。
昨日より今日、今日より明日、より美味しくなっていくその味に、キリストの生誕を待ちわびる想いを重ねるのだと。
『アドヴェントカレンダーと同じだな。』
『え?あれってそんな意味があったんですか?』
『何だと思ってたんだ?』
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