「あ!いた!シキー!」
元気で明るい声色に不意に呼ばれ、青年は思わず肩をびくつかせる。
彼が振り向くや否や、声の主は跳ねるように近寄り、彼を両腕の中に収めた。
「る、る、ルーク……!?」
急な展開に目を白黒させ、彼は声の主の名前を呼ぶのがやっとだった。
「ありがとう、シキ!ナデシコさんに聞いたよ、犯人の特定をしてくれたのは君だって」
「あ、ああ……」
中止となった大祭KAGURAの仕切り直しとして行われたオンラインイベント。そこに爆弾を仕掛けた男が逮捕されたのは、つい先程の出来事であった。
「ボ、ボクは……ナデシコさんに言われた通りしただけで……」
「でも、シキが犯人を特定してくれたからこそ、すぐに逮捕に至れたんだ。胸を張ってくれ、シキ。ありがとう!」
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