親戚不死川の墓に経文を上げる住職を頼めたのは、柱で実入りがいいからだ。父祖からの墓に弟妹の遺灰を皆詰め込んで、墓があるだけましだった。僧に頼んでまともな経をあげられるようになったのはここ近年の話になる。
彼岸会を終わらせた時に住職から話があった。不死川家の本家についてだった。
本家の話を実弥は初めて耳にした。本家筋は明治末年頃に佐倉の方に引っ越し、この菩提寺と縁続きの寺を檀那寺にしている。実弥に話とは何のことか、住職もはっきりしたことは言わなかった。とにかく実弥に用があるらしいので、そちらに向かうことを伝えてくれるよう頼んで、あちらの住所を聞いておいた。
鬼殺隊に家の用があると連絡を入れ、軽い旅装を整えて本家に顔を出すことにした。海沿いの街道筋の宿に入る。名刺を出して、宿帳は宿の人に書いて貰った。
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