One is always sorry after the event 昼下がりの阿笠邸のリビングで、降谷は差し出されたコーヒーに口をつけた。
対面のソファに座る人物は、宮野志保。この家の主である阿笠博士にとっては娘同然の存在であり、灰原哀から元の姿を取り戻した今も、彼と二人で暮らしている。
「ごめんなさいね、呼び出したりして。仕事、忙しいんでしょう?」
「君が気にすることじゃないさ。それに、時間が無ければ来ないよ。僕の予定がアテにならないことは、わかってるだろ?」
何度、彼女との面談日程に変更連絡を入れたことか。
同じことを思い出したのか、志保はクスクスと笑ってみせた。
「ふふっ、そうね」
大人びた表情の多い志保だが、笑顔はあどけなく、歳若い娘相応のものだ。
あの組織が壊滅し、科学者シェリーこと宮野志保が公安の保護下に入って二年。
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