無垢を擁いて ――某日、都立呪術高等専門学校所属、虎杖悠仁の秘匿死刑が決行された。
紆余曲折を経て、千年に一度とされた両面宿儺の器――悠仁は、呪いの王にして最凶最悪最上の呪い、両面宿儺の指二十本を無事その身へ納めた。
当初より、悠仁の死刑は両面宿儺の指をすべて取り込ませるまで、という執行猶予だった。
凶悪な呪いをひとつ世から排除出来るならと、呪術界上層部は悠仁の身柄を即座に拘束し、幾重の封を施して処刑の日時まで牢へ幽閉した。
当然、五条悟ら悠仁の知己の面会が許されるわけはなく、五条も悠仁と再会を果たしたのは、死刑執行の日だった。
現呪術界に於いて、最強を謳う五条が、悠仁の死刑執行人だったからだ。
生徒ひとり助けられない無力さに、五条は小刀の呪具を手に、ミイラの如く全身を呪符で拘束される悠仁を前に、言葉を交わす。
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