JUST FALL IN LOVE① ……恋は落ちるもの、なんてよく言うけれど、そんなの創作の中だけのことで。
本当にそうだなんて思わなかった。
君に、出会うまでは。
親同士が決めた許婚との顔合わせの席で、手持ち無沙汰にカードをいじっていたら。
突然。
君が視界に飛び込んできた。
「 おいテメー今のどうやりやがった!?」
それは初歩的なカード消失マジックだったけれど、よほど彼の興味を引いたらしく。
好奇心に、きらきらとおおきなあかい瞳を輝かせて彼はずい、とこちらに詰め寄った。すべてを暴こうとするようなその視線から、目が離せなくて。
どくん、と大きく響いた鼓動とともに、時間が止まる。
この顔は知っている。事前に母から渡された写真にあった顔だ。けれど、写真ではもっと無表情で。こんな。
2674