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    短い話を放り込んでおくところ。
    SSページメーカーでtwitterに投稿したものの文字版が多いです。
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    仕事中に居眠りする狡噛さんのハッピーなお話。
    800文字チャレンジ62日目。

    #PSYCHO-PASS
    ##800文字チャレンジ

    デイドリーム(白昼夢のその続き) 頭の中で俺とギノは抱き合ってキスをしている。白い教会で常守たちに花を散らされて、その中で俺たちは一生の愛を誓う。ギノは白いタキシードを着ている。俺も同じ格好をしていて、左手の薬指にはプラチナの指輪がある。彼は義手だが形式上左手の薬指に俺と同じようにつけて、生身の指にはぶかぶかだろうそれは後でネックレスに仕立て直してもらおうと二人で話し合った。
    『おめでとうございます!』
    『幸せになってくださいよね! ご祝儀包んだんですから!』
    『慎也くん素敵よー』
    『あら、宜野座もなかなかのものよ』
     誰彼ともなく好き勝手言うのが聞こえる。幸せだなぁ、とぼんやりと思う。ギノが花束を投げる。それが花城の腕に落ちたところで目が覚めた。現実では花城が俺に意見を求めていた。
    「どうしたの? この犯人の地理的プロファイリングについてあなたの意見を聞きたいんだけど、集中出来ない? ちゃんと寝てるの?」
     俺はそれを誤魔化すように煙草に火をつけ、ブリーフィングルームの中で小さくふかした。
    「分かってる。それじゃあこの犯人の生い立ちから言って……」
     
    「さっきは散々だったじゃないか。どうしたんだ?」
     朝の仕事が終わってテラスでランチ(というほど豪華なものでもない)を取っていると、ギノがやってきて俺の向かいに座った。手にはパスタのプレートがある。俺はカレーうどんだ。変わらないなと最初のうちはからかわれたものの、貫き通していたら何も言われなくなった。
    「短い夢を見ててな。俺はそこでギノと結婚式をあげていて……」
    「は? んっ、ゲホッ、嘘だろ、お前はどこまで幸せな頭をしてるんだ」
     そう言われても夢なんて自分の自由にはならないんだから仕方がない。でもそれでも綺麗だったと言えば、彼は咳払いをして瞳を細めて馬鹿を言えと俺に毒づいた。
    「みょうにリアリティがあって、しばらく本当のことかと思ったよ。そういえば監視官時代にはよく結婚式について話し合ったなと思ってさ」
    「それは……。それは、今でも変わらないだろう。もう俺だって潜在犯なんだし」
     ギノがパスタを口に運ぶ。俺は何が起こったのかとっさに分からなくて、カレーうどんの汁を跳ねさせた。
    「こら、狡噛。スーツが汚れる」
    「す、すまない……」
     彼はどうしてあんなことを言ったんだろう。潜在犯同士の結婚は実は珍しくない。なんだか頭がぼうっとする。白昼夢は、どうやら真実になるかもしれないらしい。そんな世迷いごとを考えて、俺はカレーうどんの続きを、恋人の顔を眺めながら食べたのだった。
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    TRAININGお題:「昔話」「リラックス」「見惚れる」
    盗賊団の伝説を思い出すネロが、ブラッドリーとの初めてのキスを思い出すお話です。軽いキス描写があります。
    かつての瞳 ブラッドは酔うと時折、本当に時折昔話をする。
     普段はそんな様子など見せないくせに、高慢ちきな貴族さまから後妻を奪った話だとか(彼女はただ可哀想な女ではなく女傑だったようで、しばらく死の盗賊団の女神になり、北の国の芸術家のミューズになった)、これもやはり領民のことを考えない領主から土地を奪い、追いやった後等しく土地を分配したことなど、今でも死の盗賊団の伝説のうちでも語り草になっている話を、ブラッドは酒を飲みながらした。俺はそれを聞きながら、昔の話をするなんて老いている証拠かなんて思ったりして、けれど自分も同じように貴族から奪った後妻に作ってやった料理の話(彼女は貧しい村の出で、豆のスープが結局は一番うまいと言っていた)や、やっと手に入れた土地をどう扱っていいのか分からない領民に、豆の撒き方を教えてやった話などを思い出していたのだから、同じようなものなのだろう。そしてそういう話の後には、決まって初めて俺とブラッドがキスをした時の話になる。それは決まりきったルーティーンみたいなものだった。
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    TRAININGお題:「花火」「熱帯夜」「一途」
    ムルたちが花火を楽しむ横で、賢者の未来について語ろうとするブラッドリーとそれを止めるネロのお話です。
    優しいあなた 夏の夜、魔法舎に大きな花火が上がった。俺はそれを偶然厨房の窓から見ていて、相変わらずよくやるものだと、寸胴鍋を洗う手を止めてため息をついた。食堂から歓声が聞こえたから、多分そこにあのきらきらと消えてゆく炎を作った者(きっとムルだ)と賢者や、素直な西と南の魔法使いたちがいるのだろう。
     俺はそんなことを考えて、汗を拭いながらまた洗い物に戻った。魔法をかければ一瞬の出来事なのだが、そうはしたくないのが料理人として出来てしまったルーティーンというものだ。東の国では人間として振る舞っていたから、その癖が抜けないのもある。
     しかし暑い。北の国とも、東の国とも違う中央の暑さは体力を奪い、俺は鍋を洗い終える頃には汗だくになっていた。賢者がいた世界では、これを熱帯夜というのだという。賢者がいた世界に四季があるのは中央の国と一緒だが、涼しい顔をしたあの人は、ニホンよりずっと楽ですよとどこか訳知り顔で俺に告げたのだった。——しかし暑い。賢者がいた世界ではこの暑さは程度が知れているのかもしれないが、北の国生まれの俺には酷だった。夕食どきに汲んできた井戸水もぬるくなっているし、これのどこが楽なんだろう。信じられない。
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