Wisteria(6)「Wisteria」について異種姦を含む人外×人のBL作品。
世界観は現実世界・現代日本ではなく、とある世界で起きたお話。
R-18、異種恋愛、異種姦等々人によっては「閲覧注意」がつきそうな表現が多々ある作品なので、基本的にはいちゃいちゃしてるだけですが……何でも許せる方のみお進み下さい。
又、一部別の創作作品とのリンクもあります。なるべくこの作品単体で読めるようにはしていますがご了承を。
※ポイピクの仕様上、「濁点表現」が読みづらいですが脳内で保管して頂けると助かります。もし今後、ポイピクの方で綺麗に表示される様に成りましたら修正していこうと思います。
【項目 WisteriaⅡ】
「驚き芽吹く碧落の日」
閑話1 「反れた瞳」
閑話2 「身もない話1」
「驚き芽吹く碧落の日」
初めて此方に来た日だった……と言っても時間が曖昧な場所で、どれ程経ったかなんて野暮ではあるが。
神社を境内ごと丸々移動し、その奥に新しく母屋が建てられた。そんな母屋の一室で、積み重なっている沢山の荷物と藤は睨めっこしていた。まだまだ積み重なる荷物を見て、片づけ終わるのはまだ先だなと思い直す。大半は向こうから持って来た物だった。
街もあると言っていたから、これから暮らしていけばまだまだ荷物も増えるだろう。だからこそ、片付けが苦手な朽名に代わって早めに荷物を片づけるべきだ。……正直、早く片付けて新しく棲み始める〝この場所〟を見て回りたい。だが――
「疲れた……」
ふー、と息を吐き一休みをする。荷物の傍らに背を預けて腰を下ろし、山の頂上を見上げた。
「取り敢えず必要なものは出したし、あと……なんだろ?」
荷物を見ながら「うーん」と逡巡していると、暫くして人の身の朽名と鍵屋がやって来た。鍵屋が来て早々に藤へある事を告げる。
「浴室作っておいたよ、お湯も張ってあるしすぐに入れる」
「お風呂!」
目を輝かせた藤が勢いよく立ち上がった。
❖ ❖ ❖
「すごい……!」
欠伸を一つ落とし、手をひらつかせながら扉へ足を運んだ鍵屋を見送り、二人は新しく出来た浴室へと向かった。目を輝かせてはしゃぐ藤が、服を着たまま彼方此方と見て回る。
広めに造られた脱衣所、広い浴室に洗い場と内風呂の向こうは露天風呂になっていた。ただそれだけではなく、外の露天風呂は美しく青味のある深紫の〝藤〟が囲う様に咲き誇っている。
「境内にもあるがな、此方にも移した。〝蔦藤〟神社だしな。此処に在っても好いだろう?」
にやと笑う朽名を藤が言葉も出ず、驚いたままの表情でくるりと此方を向く。その反応が面白くて蛇が笑い声を上げた。
「ほら、入らないのか? 折角の湯が冷めるぞ?」
脱衣場で服を脱ぎ、洗い場の鏡の前に来ると改めて自分の体の変化を見る。
「本当に姿変わったんだ」
「嫌か?」
「ううん、嫌じゃない。何だか気持ちがすっきりして……新鮮かも」
自分の両手を見ながら微笑む。何だか晴れやかな気持ちだった。新しい場所で、新しい自分で。此処で朽名と共に過ごしていけると思うと嬉しさが沸き上がった。
見つめていた手をぎゅっと握る。……握った手の横を別の手が通っていった。
「ん?」
背に軽く体重がかかった事で、後ろから朽名が抱きついてきた事に気づいた。肌と肌が触れているから少し恥ずかしい。
「え、なに」
「此方に着いてから忙しかったからな。他に変化はないか、色々と確かめておこうと思ってな」
正面の鏡に蛇がにこっと笑う顔が映り、頬を撫でられる。
「こうする必要ないじゃん! …んっ」
突然の事に焦り、薄く汗を浮かべる藤の喉から下へとつつっと指でなぞられていく。そしてくぷっと胸の小さな突起を押された。
「やめ、んんっ、ちょっと! あっ」
体を動かし逃れよとするが、ガシッと腕で抱きしめられ抜けられない。慌てる藤の首元をちゅっと吸っていく。
「ひぁっ、ぅ」
ふふっと笑う吐息がかかり、さらにカっと顔が赤くなる。抱きしめている手が脚へと伸びてきた。
「あっ、まって」
伸びてきた手が狭間を探る。そうして狭間を弄った時だった。
「?」
突然やる気に満ちていた手がピタっと止まる。蛇の頭にが疑問符が浮かんでいた。
藤はほっとし、その間に息を整えるが、手を退けるどころか一向に動こうとしない背後の様子に気づき、声をかける。
「朽名……?」
表情を見る為に身体を捻ろうとした時、朽名が覗き込むように頭を前に出してきた。
「な、なに? え?」
「見た目の変化だけじゃないみたいだぞ?」
自らの性器が佇む膨らみのその先、脚と脚の狭間へ指先を置き、新しく現れたその溝に軽く指を押し込む。
すると藤の体がビクッと震えた。
「っ、え?」
軽く押し込んだ指が、浅く中に入り込んでいく。
「ひっ、な、なにっ!? 入って……何か…変……」
指先が沈む溝をなぞる様に指が進んでいく。その度に藤の口から小さく嬌声が上がった。指をするっと上方に動かし、皮下に隠れ、僅かに飛び出る小さな突起に指先が擦れると
「――ぁっ!」
その瞬間、今までの触れ方とは違う感覚が身体を駆け巡り、大きく藤の体が跳ねる。時が止まったかの様な静かな時間が流れ、やがて二人で顔を合わす。
「ね、ねぇ朽名……」
何が起きたのか全てを飲み込み切れず、信じられないという顔で後ろに居る蛇へと恐る恐る口を開く。
「ああ、見た目の変化だけじゃなかったな」
「……」
❖ ❖ ❖
新しい変化に驚いた後暫くして、様々な疲れが出た藤は眠ってしまった。だが、まだまだ荷物は山を作っている。目を覚ました藤と食事を摂り、少しでもその山を片づけようと荷を解いている時だった。
「……ん?」
荷を解く朽名の元に、ドタドタと走ってくる音が聞こえてくる。ガラッと戸が開けられると、音の主が部屋へと入って来た。
「朽名!」
「なんだ?」
「直った!!」
「? 何がだ」
問われた藤がそっとお椀を手渡す。それは向こうから持ってきていた何の変哲もない陶器でできたお茶碗だった。
「これがどうした?」
朽名が首を捻る。
「片づける時に落として割っちゃって……、初めてこれで一緒にご飯食べたのにって考えてたら」
一呼吸置き、再び口が開かれていく。
「直った」
まるで朽名が何かを直す時の様に、その茶碗も藤の手で修復されたのだった。驚いた顔のまま朽名へと向く。
「見た目の変化だけじゃなかった」
「……そうだな」
契った事で、こんな変化まで現れたのかと内心驚きながら、驚きで目を丸くする藤の表情に目を細めた。
閑話1 「反れた瞳」
当初よりも荷物が減り、大分部屋が片付いてきた様に思う。少し休憩でもしようかと提案する為に、側に居た人物へと顔を向けると……ばちりと隣に居た人物と目が合ってしまった。
整った顔立ちで、此方への視線をじっと反らさずに向けくる人物が、今よりも距離を詰めて迫ってくる。どきりと心臓が跳ね上がり、そんな朽名に思わず藤は顔を反らしてしまった。
「っ」
「……なんで真っすぐ此方を見てくれないんだ?」
獲物を狙い定めた瞳で藤へと視線を送りながらじりりと更に近づく。
「私は藤の顔を見たいんだがな」
するりと手が伸ばされ、藤の頬に触れてくる。反らせない様にとその場所で固定されてしまった。
「っ!」
「それとも此方に来た事を後悔でもしたか?」
「違う!」
はっきりとした声色で否定の声を上げる。その様子に興味深そうに蛇の目が細められた。
「後悔なんてしてないっ、ただ……」
珍しく声を上げるがそれは高度を落とし、徐々に言い淀んでいってしまう。
「どうした?」
「……今までは贄としての役目があったのに……それが無くなって……」
今までは贄としての役目を果たすという理由があった。けれどその理由が無くなって、夫婦……いや、自分は蛇ではないけれど、番と言った方がしっくりくるかもしれない。関係の形が変わって、自分自身にも変化があったからか、何だか前以上に気恥ずかしくて胸の奥がむず痒く感じるのだ。
「朽名に見られると心臓が跳ねて……嬉しさと心地良さと気恥ずかしさで、頭の中がぐちゃぐちゃになって泣きそうになるんだ。そんな、……そんな顔見られたくない」
藤が向ける言葉に、ほわっ、と何かが朽名から浮くのが見えた気がした。
「……今更か?」
「い、いまさらだけど!! 前より意識しだしたらなんだか……」
赤い顔のままもごもごと口籠る。
暫く口籠っているとぎゅっと体を抱きしめられた。「うぅ」と呟く藤を、抱きしめながら蛇の時の癖なのか、すりすりと頬を擦りつけてくる。それが、なんだがそのまま蛇の姿を連想させ、そう考えると何だか愛らしさというものを感じ、さっきまで委縮していた藤は自然と笑みを浮かべていた。
閑話2 「身もない話1」
何やかんやと片づけや住みつく準備が整い、やっと落ち着けたのは此方に来てから幾何時か経った頃だった。(ただ、時間が曖昧なこの場所を、向こうと同じ尺度で測って良いのかは分からないが……)
はじまりは一息つき、横になってうとうとと微睡み始めた藤に、蛇の姿で朽名がすり寄ってきたのがきっかけだった。服の隙間から入り込んで来ると、すりすりと頬ずりをしだす。
「う、んん」
微睡の中で体に鱗が触れる感覚がこそばゆさを生むが、眠気が勝り小さく声を出すのみだった。蛇が身を寄せ、長い胴を藤の体によりピタリとくっいて這いつくばせると、肌を擦り撫でていく感覚でようやく藤が気づく。
「? くち」
ぱくり。
名前を呼ぼうと口を開いた時、僅かな膨らみにある小さな突起をその口でぱくりと咥えられた。ぷくりと胸の天辺がほんのりと赤く染まっていく。
「ぁっ」
「――やっ、……もう無理っ……んっ、のど…奥、舐めないで」
開けた口から長い舌が入り込むと、ちろちろと喉の奥を舐めとる。藤の服はとっくに部屋の何処かへと旅に出てしまっていた。
上半身は寝そべっているのに、下半身が巻き付かれているので浮き、両脚を蛇の長い胴に引っ掛けられ持ち上げられている。まるで寝たまま椅子に座っているかの様に。
はぁはぁと息を吐いて、一休みをしている体の周りでずるりと長い胴体を動かすと、藤の中に居た〝蛇〟が中で動き出す。中に居る一人の動きに合わせて別の〝もう一人〟が藤の持ち上げられた両脚の間で擦れ、ぺちぺちと音を立てて踊っていた。
「ひぁ…っあっあ――、ぅ……やっ、ぁっ、ん…あっ」
くちゅくちゅと濡れた音を立てる側で、もう一人も先走りによりぬちゅっ、ぬちゅりとよくお喋りをする。
巻きつく半透明な蛇の体が肌を通して自分の中に入り込む。その感覚が上気する藤の体を駆け巡り、また快感に変えていった。快楽が染み込んでくる体を震わす。
何度も何度も。自分の中でのた打ち回るそれが、最奥を強く叩きつけてくる衝撃で、艶が滴る褐色の背は大きく弓なりに反れていった。
「! や、で…るっ……゛あぁっ――」
びゅくっと白く粘り気のある液を自身から吹き出す。その瞬間、目の前の蛇がにやっと笑った気がしたような……。藤がはぁと大きく息を吐く。そんな藤を他所に、休む間もなく次の律動が始まった。
「え? あっ、まっ、んん……っ」
どのくらい経ったのだろうか。
抽挿を繰り返し、中を突く度に藤の先端から白濁を吹き上げ、やがてたらりと液を溢す。ようやく散々擦られた腹の中にもドクリと暖かいものが吐き出され、脚の狭間も液でぐじゅぐじゅに濡れていた。
……だが、蛇故かこれだけでは終わらなかった。
❖ ❖ ❖
蛇が人に身を変えると、柔らかな寝具の上でくたりと力を抜いて身体を沈めている藤を覆う。劣情を抱く目を細めてそっと頭を撫でると、体を伝いながらその手は下方へと向かう。身を藤の脚の狭間に割って入り込ませると、指先は再び後孔の奥を探り始めた。
指先を使って押し広げると、開いた口から中へと吐き出したものがどろりと零れ出す。その場所へ自分のものを宛がうと、荒く息を吐きながら意識を手放しかけていた藤がそれに気づく。
「ん、やっ…もういらない……」
「偶にはこっちの良さも教えんとな」
「っ、あっ、くちなっ、ま……っ、ぁ、きい…の…ぁ、やぁっ、っく、る……んっ」
溶けきった頭がそんな言葉にもならない言葉を口走らせてくる。
自分が何を言っているのかも理解出来ないまま、押し広げ、入り込んでくる感覚に耐える藤は、抑えられない音を口から漏らし続けていく。朽名の腕を掴み、力を入れようとはするものの上手く力が入らず、休む間もないまま藤は快楽の海へと落とされた。
「此処にしていたら子が出来ていたかもしれんな」
にやりと。そう微笑しながら藤が持ち、普段は閉ざしているもう一つの口へ指を滑らせる。途端、藤の頬が色づいた。
「っ、今日はもういいから!」
「偶にはこっちも良かっただろう? それとも毎日するか?」
そう言いながらぐたっとしている藤の頭を優しく撫でている。悪びれない蛇のペースに大きく息を吐き出した。
「はぁ……お風呂入りた、いっ!?」
ぼそっと呟き、言い終わる前に藤の身は軽々と持ち上げられてしまう。
「連れてってやろう。歩くにはしんどいだろうからな」
「いらないから! いいから降ろしてっ! 一人で行けるから!」
「中のものを出さないといけないしな……手伝ってやろう」
「一緒に行ったら朽名また始めるでしょ! 自分でやるからいいって!」
バタバタと手足を動かして蛇に抗議する藤を見ながらふっと笑い、音は遠く、そのまま浴室へと消え去った。
- 了 -