甘やかされる 「ぼうっとしてどうしたんだ?仁菜」
天井越しに見える芹くんを見つめながらずっと心のうちにあったものを打ち明ける。
「芹くんって、優しくなった?」
「は?」
「い、いやだってその前まではえっと…」
「酷かった?」
頷くと芹くんは困ったように笑う。
「言っただろ?仁菜を不安にさせないように愛を伝えるつもりだって、言葉でも行動でも…だから俺なりにそれを伝えてるつもりだったんだけど?…それとも嫌だった?」
「い、嫌じゃない!嫌じゃなくて…嬉しくて、でも前と違うからその、不思議に思って…」
それが私のためだと思うと嬉しくて思わずにやけてしまう。
「それにさ、仁菜…優しくされるの好きだろ?甘やかされるのも」
「えっと、そ、それは…」
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