診断メーカー七五 目が覚めた。わずかな光量のはずのベッドライトがやけに眩しい。静まり返った寝室、締め切った空気は、空調の可動音でかすかに振動している。
高層階は思ったよりも下界の音が上がってくる。窓の外、遠くから、車の走行音が響く。
ベッドの中はとても平和に、すうすうと呼吸音だ。全裸の恋人はリネンにくるまって、長い体を長々と横たえ伸ばしている。気持ちよさそうに眠る顔はまるで子供のように無邪気だ。目を閉じていても存在感の強い白いまつ毛は、だいだい色の薄あかりの中で、ほおの上に影を作っている。それも長い。
ほおの上、影をたどる。ほくろひとつ、しみひとつない新雪のような肌だ。子供のように柔らかそうな皮膚は、触ってみると、実際期待通りに柔らかい。
1032