格好いいのは、君が好きだからだよアドラーがおかしい。
ウィルがそう考えるようになって片手で収まり切れなくなったころ、さらにおかしいことをガストが言ったので、痛い腰をさすりながらベッドで寝がえりを打ったウィルはいそいそと霧吹きを持って下着姿で仁王立ちしている締まっているけど締まりきれていない背中に声をかけた。
「なあ、最近おかしくないか?」
「ん? なんのことだ?」
「なんのことって、それだよ、それ。どうして急に水やりをしたいなんて言い出したんだよ」
振り返ったガストは前髪を左腕で掻き上げながら、不思議そうに首を傾げた。まだベッドで丸まったままのウィルを見つめ、ヒーローごっこをしている子どもみたいに霧吹きを掲げてみせる。
「べつに構わないだろ。ちゃんと教えてくれたとおりにやるからさ」
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