始まりのオペレッタ とある日、ショーの練習をするためにセカイを訪れたワンダーランズ×ショウタイムの面々は…
「司ぁ!一体なんなのこれは!?」
「オレだって知るわけないだろう!?」
「だってここあんたのセカイじゃない!」
…謎のドス黒い怪物から逃げ回っていた。
経緯も先に述べた通りである。いつものようにセカイへと訪れた。ただそれだけ。足を踏み入れた瞬間になんだか嫌な気配は感じたが、気のせいだと思った。だが、嫌な予感というものはよく当たるものである。バーチャルシンガー達を探して歩いていると、後ろから気配を感じた。意を決して4人が振り向くと、謎の怪物がいた、という訳だ。目を合わせた瞬間にそいつは襲いかかってきたため、4人は逃げ出した。何故か、セカイから出るという発想は出てこなかった。
アトラクションなどを駆使することによって、一旦は怪物を撒くことができた。4人は身を隠し、改めてこの状況を整理する。
「司、もう一回聞くけどあいつのことは全く知らないのよね?」
「あぁ、もちろんだ!このオレがオレやお前達を危機に陥れるような奴を呼ぶものか!…それに、ここは咲希の…みんなの笑顔を願って創られたセカイだ。笑顔を奪うような存在など、あってはならん」
「うん、そうだね。ここは司くんを信じよう。ここで嘘をついても意味がないと思うしね」
「でも、ここからどうするの?ミクちゃんやカイトお兄さんたちが心配だよ〜…」
「でも、ここから出たらあいつに見つかっちゃう…どうする?」
「一旦セカイから出て体制を立て直すかい?」
「それが最善か…あれ?」
司が「セカイはまだ始まってすらいない」の再生を止めようとしても、何故か音楽は止まらない。まるで、ここから出せないと言うように。
「おい…曲、止まらないぞ」
「嘘でしょ!?…ほんとだ、わたしのも止まらない…!」
「どうやら、あいつを何とかするかカイトさん達に助けを求めないと帰れないみたいだねぇ…」
「こうなったら、早くカイトお兄さんを探しに行こうよ!」
3人は、えむの言葉に頷いた。全員、あの怪物を自分達で何とか出来るとは思えなかった。KAITO達がいるとしたらショーテントだと判断し、怪物に見つからないように動くということに決まった。こっそりと動くうちに、自分たちは運良くあの1体にしか見つからなかったが、他にも多くの怪物達がいるということがわかった。
ショーテントまであと少し。怪物達の目が逸れているうちに駆け抜けることとなった。が。
「きゃっ…」
寧々が、怪物達が壊した破片に躓いて転んだ。
「「「寧々(ちゃん)!」」」
3人は叫ぶ。と、その声に反応して、怪物達がこちらを見た。まずい、と頭の中でアラートが鳴り響く。テントまであと少し。
「すまん、寧々!緊急事態だから許してくれ!」
司が、寧々をさっと抱えた。
「走れぇぇぇ!!」
司の号令で、類とえむ、そして寧々を抱えた司は一斉にテントへと駆け抜ける。真っ先に着いたえむが扉を開ける。4人は中へとなだれ込む。類が、勢いよく扉を閉めた。何とかなったようだ。
「…なんとかなったみたいだね…」
「あぁ、そうみたいだな。…寧々、大丈夫か?」
「あー、うん、大丈夫。ありがと、司」
「寧々ちゃん、怪我も無いみたいだね!よかった!」
一応戻ったら患部を冷やそうなどと話していると、テントの裏口の方から誰かが入ってくる音が聞こえた。全員、息を潜めて警戒を強める。裏口側の扉から、KAITOが顔を出した。信頼できる保護者である彼が現れたことによって、4人は緊張の糸が切れる。
「みんな!大丈夫だったかい?」
「カイトか!はぁ、緊張したぞ」
「はい、全員無事です。…カイトさん、その、手に持っているものは?あと、あの怪物達は一体何なのでしょうか?」
類の言葉に釣られて、3人はKAITOの手元を見る。彼は、細身の剣…レイピアを持っていた。
「そうだね。これらを見られた以上、説明しない訳にはいけなさそうだ。時間はあるかい?」
4人は揃って頷く。KAITOは、セカイの裏側について話し始めた。
「まず、君達が1番気になっているであろうあの黒い怪物について。彼らは、持ち主が想いを取り戻すことなく朽ちて壊れてしまったセカイから生まれた怪物だ。〈汚れのカケラ〉と僕らバーチャルシンガーは呼んでいるよ。」
「はーいっ!カイトお兄さん、質問です!壊れたセカイって何のことですか!」
「わたしからも…いいかな?その…壊れたセカイ?と怪物…汚れのカケラの関係って?」
それは質問者ではない2人も気になっていた事だった。
「まず、壊れたセカイとはさっきも言った通りに持ち主が本当の想いを思い出すことなくセカイの歌も生まれることがなかったセカイだ。そういったセカイは段々と朽ちて、壊れていく。そうすると、セカイにいたバーチャルシンガーも穢れてしまって、結晶となってしまう。これを〈災厄の純結晶〉と呼ぶよ。ここから、さっきの怪物…汚れのカケラやそれらのリーダー格たる〈汚れの結晶〉が生まれる。」
次は類が問いかける。
「それでは、何故その怪物達は僕らのセカイを襲って来たのですか?」
「彼らは綺麗な想いを狙っているんだ。自分達のセカイから消えてしまったものだからね。壊れていないセカイや想いの持ち主には、綺麗な想いが溢れている。それを彼らは奪おうとしているんだ」
「…ずっとカイトやみんなは戦ってきたのか?」
「…そうだね。壊れたセカイからやってくるものを倒して想いの持ち主やセカイを守るのも僕達バーチャルシンガーの役目だ。でもほとんどはセカイの狭間…全てのセカイの間を繋ぐ空間なんだけどね、そこの住人が倒しているんだ。それでも取りこぼしはあるから、そいつらを僕達が狩っている、ということになるね」
「…」
4人は黙り込んでしまった。自分達の知らぬところで、バーチャルシンガーのみんながこのような事をやっていたのを知ってしまったから。KAITOは続ける。
「いつもなら君達が来る前に片付けるのだけどね…最近はやけに多かったから。みんなを危険な目に合わせてしまった。君達を帰らせるから…」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ!」
司は思わず声を上げた。
「カイト達がこのようなことをしていたなんて知らなかった…だがこれを知ってしまった以上、はいそうですかカイトさんお願いしますはダメだと思うんだ。それに、ここはオレのセカイだ。オレの想いのセカイだ。自分のセカイなのに、他人に任せてオレは何もしなくていいなんてオレはできない…!」
「司くんならそう言うと思っていたよ。僕だって、こんな興味深いセカイがこんな状況になっていたなんて知って、黙って見過ごすなんてできないよ。何より、僕を受け入れてくれた場所なのだから」
「わ、わたしだって…!こんなこと、見過ごせない!そ、それにリンやミクだって心配だし…」
「そうだよ!こんなのぜんぜんわんだほいじゃない!レンくんやみんなだって心配だよ!あたしたちがなにかできるならあたし、やりたいよ!」
4人は口々にKAITOに詰め寄る。意地でも動かないという強い意志を感じた。4人を関わらせたくないKAITOとKAITOを始めとしたセカイの住人達の力になりたい4人との間で睨み合いが続いた。暫く睨み合いは続き、観念した様にKAITOは話し始める。
「本当に、君達を関われせたくないんだ。これは僕達の役割だから。いくら治せるとはいえ怪我は当たり前だし、怪我で済まないことも起こる可能性がある。それに、敵を倒していかなくてはならない。相手を倒すという実感はあるし、精神に強い影響を与える。それでも、いいんだね?」
「もちろんだよ!」
「そんなの、わかってる」
「覚悟はしているつもりさ」
「さっきも言っただろう?オレは、見て見ぬふりなんてしない。とっくに腹は括ってる」
4人の強い決意の眼差しがKAITOを刺す。
「…君達の意思は伝わったよ。ここまで言われてしまうのなら、仕方がない」
「…!ありがとう、カイト!」
司は素直に感謝の言葉を示す。ふと、ここまで大口を叩いたはいいが重大な問題が浮かんできた。
「…さて、ここまで言ったは良いが、オレ達はどうやってあいつら…汚れのカケラと戦えばいい?」
「それは大丈夫。君の想いは本物だ。ここは、想いで溢れたセカイ。司くん、強く想ってごらん。きっと君に合った形で現れてくるよ」
司は言われた通りに強く想う。あいつらを倒したい、みんなの力になりたいと。すると、辺りが一瞬光り、収まると淡い光と共に旗が現れた。司は迷いなくそれを掴む。今度は、司から強い光が放たれた。光が収まると、そこにはセカイに置かれたショーフラッグのような旗槍を持ち、煌びやかなステージ衣装に似た衣装に身を包んだ司が立っていた。司は旗に祈り、そして3人に向かって振る。すると今度は3人の元に武器が現れた。3人もそれを掴む。3人の姿も変わる。
えむは、ピンクで可愛らしいステージ衣装に似た衣装に身を包み、足元には刃の付いた、風船と花をモチーフにしたような可愛らしいブーツが付けられていた。寧々も衣装は妖精のようなステージ衣装に近い衣装。手には花と風をモチーフにしたような杖が握られていた。類も紫と黄色を主体とした衣装を身に纏い、紫のオーラを纏った刃を持つ銃剣を手に持っていた。
「すごいな、これは」
「すっごーい!それに、なんだか体が軽くなった気がする!どこまでもぴょんぴょんできそう!とってもわんだほい!」
「すごい…!とても、綺麗」
「これは驚いた。とても興味深いけれど…それより前にやることがあるね」
「そうだね。さぁ、外に出たら練習無しの本番だよ。準備はいいかい?」
「あぁ!ワンダーランズ×ショウタイム、いくぞ!」
「「「おー!」」」
4人とKAITOはテントから飛び出した。
敵を確認する。結構いたと思われた怪物達は5人が話しているうちにミク達が大方片付けたようで、残りは3体ほどとなっていた。装備的に前衛向けであろう司・えむ・KAITOの3人がまず飛び出す。ずっと戦ってきたKAITOはともかくとして、司とえむは体が覚えているような、知らないはずなのに動けるという不思議な感覚を感じた。
「えーいっ!」
えむがブーツから刃を取り出し蹴りを入れ、
「はあッ!」
司は大きくたなびく旗がついた槍で敵を薙いだ。
「すごいすごーいっ!あたし、ジャンプしたあともう一回ぴょーんってジャンプできる!」
「気持ちはわからなくもないがはしゃぐな、えむ!危険だぞ!」
えむが興奮しきったような口調で話すと、敵からの注目を集めている司からの注意が飛んだ。
「…はっ、惚けている場合じゃなかった。いくよ、類!」
「あぁ、勿論だとも、寧々」
寧々が杖に力を込めて敵に向かって振る。すると、エネルギー球みたいなものがとある一体へと向かって飛んでいった。その個体の額に弾が当たった瞬間大きくぐらついたことを類は見逃さなかった。
「みんな!今寧々が攻撃したそいつの弱点は額だ!出来るだけ狙ってみてくれ!」
「りょーかいっ!」
「うん、やってみる」
類の指示に高所への攻撃が可能な2人が応える。
「オレではあいつの額まで攻撃が届かないな…よし、オレはそれ以外の二体を足止めする!カイト、手伝ってくれ!」
「もちろんだよ!」
司は相手の足元に槍を振るい、足払いを掛ける。一体が転んだ隙をついて、KAITOが相手のコアらしきところへ一閃。どろりと溶けて消えていった。流石ずっと戦ってきただけはある。だが2人が取り逃がした一体が女子2人の援護をしていた類へと向かっていく。
「!類、危ない!」
「っ!?」
司の呼びかけに反応し、類はすぐに武器を剣の形にして攻撃を弾く。
「すまない司くん、助かったよ!」
一方その頃、女性陣。寧々の援護を活用してえむが弱点の額を狙い空中からの攻撃を仕掛けていた。えむの蹴りが避けられ、そのカウンターの攻撃が飛んでくる。その攻撃は寧々のエネルギー弾によって弾かれた。
「ごめん寧々ちゃん、ありがとう!」
「別に大丈夫。それよりあいつもあとちょっとで倒れそう!えむ、いくよ!」
寧々が杖を振って相手の足元に絡み付く木の根を生やす。根はどんどんと足に絡まっていき、怪物はとうとう身動きが取れなくなった。そこを狙ってえむが跳ぶ。
「これでどうだーっ!」
額にあったコアへとえむの蹴りが綺麗に決まった。コアは破壊され、どろりと溶けてこの一体も消えていった。あとは類が相手をしている一体。類は肩にコアを見つけたが、剣では攻撃が届かない。えむ達も、司達にも少し遠い。類は、相手の脇をすり抜けて司達の方へと少しでも近づこうと考えた。前衛で相手の攻撃を引き受ける相手がいなければ、自分は弱点へと攻撃できないからである。
「司くん!そっちへと向かうよ!」
「あぁ!」
だが司は、類が相手の脇をすり抜ける時のリスクを考えていた。タイミングが合わなければ吹っ飛ばされる。最悪のパターンを考えていたとき、ふと足元から声がした。
「ツカサクン、ボクタチガアシドメスルヨ!」
「なっ!?」
足元には、セカイに住むぬいぐるみ達。みんなの力になりたいとやる気で満ち溢れている。しかし、司は首を振った。
「だ、だがお前達では危険だ!それに、お前達は数はいるとはいえ軽いしはっきり言って弱いだろう!お前達の方が吹っ飛ばされる!」
「デキルヨ!ツカサクンノチカラナラ!」
「ど、どういうことだ…?」
この会話を聞いて、KAITOは一つの可能性を見つける。
「司くん、説明をしそびれたけれど、僕達は一つ、特殊な能力を持っている。ミクなら猫になれるし、メイコは自分が考案した演出装置を召喚することができる。これらが司くん達にも宿っているんだよ。君の場合、それは彼ら…ぬいぐるみ達を操って、共に戦う力みたいだね」
困惑しながら、司はぬいぐるみ達に問いかける。
「そうなのか…?」
「ソウダヨ!ツカサクンガ、ボクタチニチカラヲクレルンダ!ハヤクハヤク!ジカンガナイヨ!」
ぬいぐるみ達がぴょんぴょんと跳ねながら答える。
「あーもうわかった!やってみるぞ!」
司が旗を振るう。旗が淡く輝きだし、周囲に沢山のぬいぐるみ達が現れていく。
「頼む!類が脇を通り抜けて、オレ達が追いつくまででいい!あいつの足止めをしてくれ!」
そう叫び司が旗を敵へと向けると、ぬいぐるみ達が一斉に飛んでいき、瞬く間に足や腕へとしがみついた。類達は驚いたようにこの光景を見ていた。
「類、走れ!オレ達も向かう!」
「あぁ!」
5人は自分たちの位置へと向かう。あっという間に陣形が整った。
「みんなありがとう!もう大丈夫だ!」
そう司が言うと、ぬいぐるみ達は消えていく。怪物が動き出す。前衛の3人は敵の狙いを引き受けて、後衛の寧々と類が肩へと攻撃を行う。あと少し。2人は同時に最大火力の攻撃を行う。
「「いけぇ!!」」
2人の攻撃が当たる。コアが砕け、最後の汚れのカケラは消えていった。ワンダーランズ×ショウタイムの初陣は勝利に終わった。
戦闘終了後。遠くの方まで確認に行っていたバーチャルシンガー達も戻って来て、現在の状況を改めて説明することとなった。
「まさかみんなも戦うことになるなんてね…」
「すまんな、メイコ。だがこれはオレ達が決めたことだ。後悔は一切していないぞ」
3人も真面目な顔で頷く。
「僕も保証するよ。あの時の彼らの目は、本気だった。きっとこれからも後悔はしないよ」
「そう、それならいいわよ!みんなとも一緒に戦えるなんて楽しみだわ!…さて、カイトは必要最低限の説明しかしていないらしいけれど、何か質問はあるかしら?」
MEIKOからの問いかけに、真っ先に類が手を上げた。
「それじゃあ僕から。先程は時間も無かったから聞かなかったけれど、セカイの狭間の住人ってどんな存在なんだい?」
「そっか、言っていなかったね。大きく分けて2種類の存在がいるよ。まず、オリジナルのバーチャルシンガー。えぇと、簡単に言うとバーチャルシンガーと言われて真っ先に思い浮かぶ姿のバーチャルシンガー(僕達)ということだね。僕ならば青マフラーに白コートの僕…と言った感じに」
「あとはぁ、想いの光の運び人ねぇ。みんなもこっちでの練習中にたまに会っているわよねぇ?あのゆらゆらきらきら煌めく光のことよぉ。」
「あぁ、類が「キラキラくん」って呼んでるあの光のこと?」
「そうそう☆あの子達はいろんなセカイを渡ってたっくさんの想いの光を届けているんだよ〜☆」
「ほぇ〜っ、今度ちゃんと会って話してみたいなぁ!」
「みんなきらきらきゃーってしててかわいいんだよ〜!」
無邪気なミクとリンとえむがきゃっきゃと和んでいる。ふむ、と相槌を打った類を見てとりあえず類の疑問は解決したと判断し、今度は司が質問を飛ばす。
「さっきカイトは最近はやけに多い、と言っていたが…具体的にはいつ頃からこのような状態となったんだ?」
「あ、そこわたしも気になってた。わたし達が来始めてからとかじゃ無さそうだし」
「そうだね、それが原因じゃない。実はここの他に4つのセカイがほぼ同時期に歌が生まれたんだ。それから安定してきて暫くしてからかな、急に活発になったのは。ちゃんとセカイの狭間の住人も戦ってくれている。単純に、侵攻が活発になったみたいなんだ」
「そうそう!此処や他のセカイにもたっくさんの汚れのカケラが数日おきに雪崩れ込んじゃってる、って言ってた!此処は僕達バーチャルシンガーが多いからか、特に活発に侵攻してきているらしいけど!」
「でもでも〜っ、その4つのセカイでも想いの持ち主達も戦ってくれてるセカイがあるみたいなんだよ〜!そんな話も聞いたよっ!」
その話に、4人は顔を見合わせる。4人とも心は決まっていた。
「オレ達も手伝うぞ。自分の場所を守れずに何がスターだ!」
「ありがとう。でも、君たちの予定を最優先とさせてくれ。僕達も君たちの時間を奪いたい訳じゃない。本当に時間がある時で構わないよ。本来は僕達の役目なんだ。君達ばかりに任させる訳にはいかない。絶対に守ってみせるから」
KAITO達の想いを感じる。彼らの想いを尊重しなければ、自分達は戦わせてくれないだろう。KAITOから提示された条件を飲むことにした。
「…わかった。ちゃんと、オレ達のすべきことを最優先とするようにする。その上でお前達のピンチにはオレ達は必ず駆けつけるとも約束しよう!」
「何勝手に約束してんの。まぁ異論ないけど」
「わんだほーい!あたし、頑張るね!」
「フフ、これから忙しくなりそうだ」
「ありがとう、みんな。改めてこれからもよろしくね」
さて、と司が声を上げてえむを見る。
「せっかく新たな事を始めるんだ。えむ、いつものアレを頼む」
「!はーいっ、アレだねっ☆ミクちゃん達もやってやって〜!」
バーチャルシンガー達も微笑み返す。
「それじゃあ、これからセカイを守るために頑張っていこう〜!わんわん〜?」
「わんだほーい!」
みんなの声がオーロラ掛かるセカイの空に響き渡っていった。