空閑汐♂デイリー【Memories】27 震える声で呼ばれた名前に、それだけで胸が熱くなった。やっぱり、この男の隣に居たいと強く感じたのだ。
「それが! 何で! こうなるんだ!?」
思わず叫びながら走る汐見は床を蹴る。まさか到着直後に会えるとは思わなかったが、顔を合わせた直後に逃げ出されるとも思わなかった。昔から瞬発力は汐見の方が勝っているし、あのよく分からない刃物男を追って走ってきたのであれば流石の持久力も大分削られているだろう。
「止まれ、ヒロミ! っわ!?」
床を蹴り上げ――地球とは異なる六分の一という重力で想定以上に飛んだ体をそのまま空閑に投げ出した汐見は、空閑の腰へと両腕を巻き付け二人揃って床へと倒れ込む。
「すまん、変な所打ってないか!? いや待て、お前が逃げるのが悪いんだろうが!」
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