無題キスの日の玉雪
雪祈はスヤスヤと眠っていた。
玉田の家で勉強会をすると、本場アメリカの有名なジャズバンドのライブDVDがあるからこれを見て勉強するぞと張り切っていた男は、バイトで帰ってくるのが遅れている大を待っている間に眠ってしまったのだ。
「雪祈、寝るならこっち」と手を引くと、コクコクと無言で頷きながらベットに乗り上がって雪祈は寝た。
腹部の上に置かれた組まれた両手、白い肌、男にしては長い黒髪、眠る雪祈の周りに花なんて飾れば、その姿はさながら童話に出てくるお姫様の様である。
意地悪な継母に毒林檎を食べさせられ、眠ってしまうお姫様。最後は運命の王子様とのキスで目を覚ます、小さい頃に見た童話の記憶が蘇る。
「雪祈、起きろ」
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