窓庭の雛 ボクはキミがほんの赤ん坊だったころからキミを知っている。
ボクが世界について知っていることのほとんどは、キミに関することだ。ひとりぼっちだったボクをキミが見つけて、声をかけて、名前をつけてくれた時から、ボクらはずっと一緒だったね。キミが何を喜び、何に怒りを、悲しみを感じ、何を愛して何を憎んできたか、ボクはみんな知っている。キミのことをずっと、いちばんそばで見てきたのはこのボクだ。キミがいたから、ボクは生まれた。キミと出会う前のことなんて想像すらできないくらいに、ボクにとってキミは、世界そのものだ。
キミにはね、ボクのほかにも、素敵な友だちが大勢いたんだ。両手じゃきっと数えきれないよ。その友だちは、デルムリン島で、ロモス領ネイル村で、パプニカ王国で、キミの帰りを待っている。
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