空閑汐♂デイリー【Memories】08 エンジンが空気を震わせていた。バリバリと空気を引き裂くエンジン音を轟かせ、その機体は空へと舞い上がる。
「お、今日もやってるな」
「やってるねぇ」
教室で座学の復習をしていた空閑とフォスターは窓の外へと視線を向ける。雲を描き空を自在に舞うのは汐見が操縦するジェット練習機で。眩しげに目を細めて見つめる空閑に、フォスターは呆れたようにため息をひとつ零していた。
「それにしてもあいつ、課外で取れるライセンス全部取り終わってるのにまだ乗ってるのか」
五年目の大気圏外実地訓練に進む為に必要なライセンスは授業中の訓練で取れるようなカリキュラムを組んであり、希望者の中から実技成績順に選抜される課外訓練ではその他にもこの場所で取れるライセンスの取得が出来るシステムで。一年次から成績上位をキープし続けている汐見はその課外訓練の全てに参加していたのだ。
1230