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    yaginoura0811

    @yaginoura0811

    キショウタニヤマボイスの世界で13年くらい生かされてます。

    雑多なものの基本は総じて右側。推しの移り変わり激しい人間。推しの右側エロ大好き!!!!!!性癖色々。

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    yaginoura0811

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    『人前で果実は食べさせるな!』


    ただ果実を食べているだけの話。ラカアオ。アホです。

    おやつ時の午後3時。
    籠いっぱいに入ったリンゴを見てビィが歓喜の声をあげていた。
    リンゴだけではなく、桃や葡萄といった種類豊富な果物が彩りよく盛られている。

    「どうしたんだよこんなにたくさんの果物!!」
    「街の人から貰ったんだよ。たくさんあるから貰ってくれってな」
    「ナイスだぜラカムゥ♪早速食べようぜぇ」
    「そうしましょう!」

    ビィは真っ先にリンゴを手に取りそのままかぶりついた。果実の香りがふわりとリンゴから漂う。
    一方のルリアは葡萄を一つもぎ取ってそのまま口に放り込む。

    「おいお前ら皮剥いて食えよ渋いだろ?」
    「むあ?んな事ねぇぜ?」
    「はい!とても甘いです!」
    「ならいいけどよ」

    あっという間に食べ進める二人をよそにラカムの元へアオイドスとバアルも休憩のために部屋に入ってきた。

    「やけに楽しそうだな」
    「あ、二人もこれ食べてみろよ♪甘くて美味しいぜぇ♪」
    「これはまた豪華なフルーツ盛りだな」
    「ラカムが街の人から貰ったみたいなんです。アオイドスさんも食べたいものどうぞ」
    「では、遠慮なくもらうとしよう」

    ルリアに促されアオイドスも顎に手を当てて果物を吟味し、桃に手を伸ばす。
    丁度いい塩梅に熟れた桃は香りだけでも瑞々しさが伝わってくるようだ。

    「これは皮を剥けばいいのか?」
    「おう。剥いてやろうか?種もあるし」
    「いいや、自分でやろう」

    そう言ってアオイドスは丁寧に皮を一つ一つ剥いでいく。より一層香る桃の香りに幸福な気持ちにさえさせる。
    白い実にかぷりと噛み付くと、果汁がアオイドスの手を伝って溢れ落ちる。

    「ん、おっと」

    手首に垂れた果汁を舌で掬って舐めとった後、果実から溢れてくる果汁を啜る。
    口いっぱいに広がる桃の味を堪能している横で、ラカムが不安定に目を泳がせていた。

    「んっ…これはとても甘くて美味だな」
    「だろ?こんないいもんタダで貰えるなんて贅沢だぜなぁラカム」
    「…あ?お、おう…そうだな」

    その間もアオイドスは桃の実に齧り付いては次々と溢れてくる果汁を瑞々しい音を立てて啜り食べていた。
    本人としては普通に食べているつもりなのだろうが、どこか色を含んでいるように見えてしまう。


    「あ……んん、果汁が泉の如く溢れてくるな。手がベタベタになってしまった」

    アオイドスはあっさり桃を一人で食べきると、果汁のついた指をぺろりと舐める。
    それを他所にラカムは変になんとも表現しがたい気持ちになる。

    「んなの後で洗っときゃいいだろ。それよりこれも食べて見ろよアオイドス♪」

    次いでビィが指差したのは葡萄だった。紫と黄緑の2種類、アオイドスはむむと悩ましげに交互に見る。

    「これはどう違うんだ?」
    「うーん、紫の葡萄さんは甘いですね。黄緑の葡萄さんはなんというか優しい味です♪」
    「ほう…どれ」

    両方の葡萄を一つずつもぎ取り、どちらを先に食べるかあらゆる角度で吟味している。
    そして悩んだ末に紫の方をかぷりと噛み、桃の時と同じように実を啜って口内に運ぶ。

    「んむ…たしかに甘いな」
    「でしょう♪そっちの方も美味しいですよ!」


    今度は興味深く黄緑の葡萄を眺め、香りを嗅いだ後にぱくりと口に含んで咀嚼する。
    先程のとは違った爽やかな味にアオイドスは目を輝かせて言った。

    「おお、これはまた…後を引くような爽やかさ、そして適度な渋み…まさに神のマリアージュを生んでいる」
    「どっちも違う良さがありますよねー。あ、ラカムもせっかくだから食べましょうよ」
    「ん?あ…そう、だな…たくさんあるし…捨てるの、勿体無いしな…」
    「…ん?どうしたんだラカムキョロキョロして」
    「え?いやぁ、別に」

    別にドギマギする事ではないが、ラカムの挙動不審さに気付いたビィは頭にハテナを浮かべた。

    ただ、妙に、ある残像が頭に浮かんでこほんと咳払いを一つした。

    「あとバナナも残ってますけど、私お腹いっぱいになっちゃいましたぁ」
    「俺もだぜー。アオイドスはバナナ食うか?」
    「そうだな…せっかくだから食べ…」
    「ちょ、ちょっと待てアオイドス!」


    ラカムは反射的にアオイドスを制止した。
    何故か、反射的にラカムの中でアラームが鳴り始めた。

    「?急に慌ててどうしたんだわアカイドス」
    「いや、お前さん桃ひとつ食べてるしお腹いっぱいだろう?バナナは俺が食うわ!」
    「…そうか?」

    ラカムはバナナをもぎ取り、バクバクと勢いよく平らげて見せる。
    ふと、横に視線を感じてラカムはそちらに目線を向ける。
    なんとも言えない様子でラカムを見るバアルの視線にバナナが喉につっかえそうになってしまい胸を叩く。

    「んぐ!」
    「ら、ラカムさん大丈夫ですか!?」
    「だぃ、じょうぶだ…げほっ…あー上手い!全部食べちまおうかな!!!」

    挙動不審を隠すようにラカムはバナナを次々と口に放り込んでいく。
    それを何か言いたそうに見ていたバアルはふうとため息をついて部屋を後にした。


    結局、バナナを一人で平らげたラカムはしばらく胸焼けでモヤモヤしていたとか。
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