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    かずま

    hanahune

    MEMO三忍への恋心をなかったことにするかずま
    ぼくの存在に気がついてくれることが嬉しくて。名前を間違わずに呼んでくれることが嬉しくて。声をかければ必ず返してくれることが嬉しくて。彼らが来訪すると床から足が浮いているんじゃないかと思うくらいふわふわとした気分になる。でもダメなんですよ。ダメダメ。自惚れちゃいけない。思い上がっちゃいけない。彼らが優しくしてくれるのは仕事上そうした方が良いからだ。なにもぼくが特別という訳じゃない。雑渡さんが伊作先輩と仲が良いから。山本さんが伏木蔵を可愛がっているから。自分より立場が上の人たちがそういう態度で接してるならそれに倣った方が無難なんだ。
    今日もまたタソガレドキの三人が先輩宛の手紙を届けにやってきたから、お茶を出したらきらきらとしたものを向けられた。「ありがとう、数馬くん。嬉しいな」と元々下がっている眉を更に下げて目を細める五条さんはとっても色っぽくて、「数馬くんの煎れてくれたお茶、好きなんだ」と言ってくれた反屋さんの頬に笑窪が出来ていて、「俺たちから数馬くんにお土産があるんだ」と椎良さんがこっそり小さな包みを渡してくれた時そっと手を握られて。その様子を思い出してぼくは唇を引き結んだ。あの、彼らが向けてくるとろけるような笑顔。
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