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    た だ の 小 鈴

    わび助平

    DONE大学時代出会って一年頃の鈴薪の夜の小話です。
    ミズタマさんのイラストに着想を得て書かせていただきました。
    ※この小話の創作・掲載にあたりましては、ご本人様の承諾を得ております。
    (しまったタイトル考えてなかった大学時代鈴薪です)明かりを落とした部屋の中は、窓から差し込む月明かりにひっそりと照らされていた。月の光が隣で眠る薪の栗色の髪の上で、小さな王冠のような天使の輪のような、そんなちらちらと輝く銀色の輪を描く。その光景は、子どもの頃読んだ本に出てきた海の底で眠る宝物を思い出させた。

    ここは薪の家の客間。並べて敷いた布団に俺と薪がほぼ同時にもぐりこんでもう二時間は経つ。しかし、今夜もなかなか薪に眠りが訪れない。無理もない。
    薪は幼い頃に両親を失った。その傷さえまだ十分に癒えていないというのに、その孤独で小さな背中にはさらに十年間一緒に暮らした養父の裏切りと死と彼が隠していた目をそむけたくなるような真実が追加でのしかかった。俺と出会って間もない頃でさえ両親を失う悪夢にうなされていた薪は、澤村を失ってさらに不安定になった。そして澤村の死後一年近く経つ今でも薪の状態は落ち着かず、不眠や情動不安定をはじめさまざまな不調に悩まされている。
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    aaaaa_oshi

    DONE毎日記憶がリセットされても尚、私の事を忘れないでいてくれた彼女を、お揃いのキーホルダーの鈴が消し去った。まるで海へと沈めるかのように。

    さようなら、さようなら。

    行かないでと嘆くことは貴女の為にはならないと思ったから、声には出さないことにした。

    ※この小説には特殊表現が含まれます。
    ※幸せな🗾🔕がいない。
    ※何か問題があれば削除致します。
    感想等貰えたら嬉しいです🙏
    初めましてをもう一度。何も知らない私を彼女が抱きしめた。もう少しでもう一人を犠牲者にしようとしていた踏み切りには、既に電車が線路沿いに勢いよく通っていた。

    夏がそろそろ終わる。そんな呑気な事を考えれてしまうほどには、私は生きることに執着はしていなかった。
    こうして抱きしめてもらっても尚、記憶は溢れていくのに。こうして彼女の体温を、声を貰っても尚、それは溢れ落ちていくのに。

    分からなかった。彼処からどう打開したらいいか。まず「死ぬ」ということまで考えられなかったから。
    あのまま放置していたら私は消えていた。この夏から、消えていた。そこを彼女は私の為に命を懸けた。
    どうしてだろう。分からない。涙すら出ないのだ、憶えていないから。

    ────恋人だから?
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