Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    やんやん

    岩藤美流

    MAIKING蒼の誓約 1
    特殊設定パラレルです。
    学園の概念は無くあずにゃんはただの深海の魔法使い。いでぴはわけありの非オタ。
    まだ書いてる途中なんであれですが、あずにゃんがヤンヤンになっていでぴを監禁したり命を奪おうとしたりします。かわいそうな話です。でもハッピーエンドです。たぶん。いでぴや人魚達は色んな理由で人の命を奪ったりもしています。
    昔々、深海の暗い洞窟の中に、一人の魔法使いが住んでおりました。
     陽が沈み夜の帳が降りた空のような濃い紫の肌に、8本もの自在にうねるタコの足を持った人魚でした。空の色の瞳は、しかし長い間、闇ばかりを映しています。彼は洞窟の奥に引きこもり、日々魔法の薬を作っておりました。
     彼は偉大な魔法使いでした。悩める人魚達は、こぞって彼の元に相談をしに来ました。彼は慈悲深い男でしたから、彼らから正当な対価を受け取って願いを叶えておりました。
     しかし魔法使いは強欲でもありました。対価としてこの海の全てを求めておりました。彼の両目は、腹心である二匹のウツボの人魚と繋がっていて、海の何処でも困っている人を見つけられました。彼らは言葉巧みに、悩める人魚達を魔法使いの元へと誘いました。
     魔法使いは彼らの悲痛な願いを聞き届ける代わりに、あらゆる対価を受け取りました。美しい容姿も、透き通る声も、身体を飾り付ける装飾品も、喉を潤す美酒も、舌を楽しませる食事も、何もかもをです。彼は海の全てを手に入れていました。そして彼は、それにある一定の満足をしていていました。
     ある日やって来た人魚の悩みを聞くまでは。
    『あ 2692

    岩藤美流

    DONE歌詞から着想を得て書くシリーズ①であり、ワンライの「さようなら、出会い」お題作品の続きです。参考にした歌は「A Love Suicide」です。和訳歌詞から色々考えてたんですけど、どうも予想通りタイトルは和訳すると心中だったようですが、あずいでちゃんはきっと心中とかする関係性じゃないし、どっちもヤンヤンだからなんとかなりそうだよな、と思ったらハッピーエンドの神様がゴリ押しました。イグニハイド寮は彼そのものの内面のように、薄暗く深い。青い炎の照らしだす世界は静かで、深海や、その片隅の岩陰に置かれた蛸壺の中にも少し似ている気がした。冥府をモチーフとしたなら、太陽の明かりも遠く海流も淀んだあの海底に近いのも当然かもしれない。どちらも時が止まり、死が寄り添っていることに変わりはないのだから。
     さて、ここに来るのは初めてだからどうしたものか。寮まで来たものの、人通りが無い。以前イデアが、うちの寮生は皆拙者みたいなもんでござるよ、と呟いていた。特別な用でもなければ出歩くこともないのかもしれない。さて、寮長の部屋といえばもっとも奥まっている場所か、高い場所か、あるいは入口かもしれないが、捜し歩くには広い。どうしたものかと考えていると、「あれっ」と甲高い声がかけられた。
     見れば、イデアの『弟』である、オルトの姿が有る。
    「アズール・アーシェングロットさん! こんばんは! こんな時間にどうしたの?」
     その言葉にアズールは、はたと現在の時刻について考えた。ここまで来るのに頭がいっぱいだったし、この建物が酷く暗いから失念していたけれど、夜も更けているのではないだろうか。
    「こ 5991