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    ポイズン

    ねこさ

    MOURNINGしぶに出したバレンタインイデマレの没った一節。ご供養です。
    アズールがディアソムニア寮を訪ねたくだりで入れようと思ったんだけど、なんか冗長になる上に本筋と関係ないので削ったところ。このアズさんはポイズンクッキングを知らない。
    「ちょっと待っておれよアズール、今、茶を出すからのお」
    「あ、お構いなく」
    「遠慮するな。おぬしのような若者はケーキとクッキーどちらが好きかのう」
    「いえ、本当にお構いなく」

     何だこの会話は。お年寄りの住まいに訪問販売に行ったら何故か歓待されてしまい戸惑うセールスマンか。
     緑の燭台に照らされたディアソムニア寮の談話室でアズールは引きつった愛想笑いを浮かべた。
     礼儀正しくマレウスとの面会希望を告げ、談話室に通されたまではアズールの予定通り。
     ただ、その後マレウスがなかなか現れず、代わりにやってきたリリアにもてなしを受けていることが少々想定外だった。

    「いやあ、わざわざマレウスを訪ねてくれる同僚がいるとは嬉しいぞ。学年は違うが寮長同士じゃ、仲良くしてやっておくれ」
    「ええ、もちろんです」
    「その打てば響く小気味よさ、流石はアズール、度胸も一品じゃ! くふふ。そんなおぬしにとっておきの菓子を出してやろう」

     わしの手作りなんじゃよーとどこからともなく取り出された菓子を見たアズールはぎょっとして目を見開いた。
     え、なにそれ、その物凄い色の食べ物……食べ物? 食べ物なんですよね? 1107