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    左慈

    みちとせ🍑

    DOODLEワンドロワンライ開催ありがとう……
    # オリアカ深夜の60分1本勝負
    清河卿が星辰と一緒に、雲蒙観(左慈のお寺)に行く話
    文章が雑なのは半分寝ていたからです 次回から真面目に書きます……許……し……
    昔を偲ぶ冷たい風が頬を撫でる。

    手のひらで墓の上に積もった雪を下ろしていくと、すぐに寒さでかじかんでしまった指に息を吐きかけた。はーっ、と清河卿が温めてはまた雪を下ろし、また温めてを繰り返しているのを、星辰は手伝う訳でもなく一歩引いたところで見守っている。それは手伝わないというよりも、手伝えないという言葉選びの方がふさわしいように思えた。

    雪を払い退けたことで墓石に刻まれた文字もはっきりと見えるようになる。彫りこまれた左慈の二文字をなぞれば様々な感傷が胸の奥からこみ上げて来て、それが口から漏れだしてしまわないようにと唇をかみしめた。

    「……お久しぶりです、師匠」

    前回の訪問から一年、いや、二年は経っているだろう。動乱の世で中々訪れる事の出来なかった墓地には左慈だけではなく兄弟子たちも埋葬されている。目を閉じれば今すぐにでも「会いに来るのが遅いぞ!」「会わないうちに随分とお偉い方向に成長したようだ」と冷やかすような声が飛んできそうなものだけれど、しんと静まり返った墓地からは自分が雪を踏みわける鋭い音以外聞こえてくる事は無かった。
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