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    干物

    oishi_shioyaki

    MOURNINGバーテンイベ🔶💧。
    多分甘め…若干物騒も混じってます。
    読み返してみたら何を書きたかったのかよく分からん産物だったので供養です🙏
    どうかなまあたたかーい目で読んでやってください😌
     風神バルバトスの統べる国、モンド。国全体を満ちる空気は明朗でいて軽快、道行く人々の顔も、別段笑顔が浮かべられているというわけでなくとも、どこか晴れ晴れとして見えていた。璃月に比べれば少し浮ついた感がないでもないが、モンドという国の魅力はそこにこそあるのだろう。ふわふわ、時にはふらふら、足の向くまま気の向くまま、何に縛られることもなくその時々の風に身を任せて飛んでゆく――そんな風神の姿をそのまま映したような国であると鍾離は感じていた。「自由」。そう、正に自由そのもの。風の国モンドはバルバトスの御心の元、自由という概念を体現するが如くそこに存在していた。

     モンドの酒場、エンジェルズシェアにて旅人との偶然の出会いと彼の淹れた美味い煙霞繁葉とを存分に堪能したのち、璃月への帰路を行く道すがらのこと。風の国の在り方を想いしみじみと感じ入っていた鍾離の足元に、突如小さな影が現れた。その影に気づいた鍾離はぴたりと足を止め、はてこの影は一体なんであろうかと正体を確かめるべく眼下を見下ろす。するとそれと同時、鍾離の前にずいと差し出されたものがある。前といってもそれを差し出した影の主は大層小さかったので、鍾離はその影の主と目線を合わせるべく膝を折ることはせず身を屈めてから、差し出されたものへとよくよく目を凝らした。それは一輪の花であった。
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