戦国無双2
隅幸(すみゆき)
DOODLE『戦国無双2』発売16周年おめでとう!(2022年2月24日)=義トリオ結成16周年おめでとう!だと勝手に思ってる(*`・ω・´)戦国無双5ではあくまでお休みであって解散じゃない…と…思って…る(((`;ω;´)))
rikka223
MOURNING慶兼戦国無双2軸
2006年くらい
2009年くらい改稿
春を待つ 桜も咲こうかという頃、柔らかな雪が薄く雲のかかった米沢に舞った。冬の忘れ形見はいかにも頼りなく、衣に落ちると染みだけを残して消えた。
「名残の雪だねえ」
こんな時季に、と笑い、慶次が縁から手を伸ばした。冷えた粒が指先で音もなく溶ける。傍らの兼続は僅かに口元を綻ばせ、風で揺れる髪を押さえた。
伏せた睫毛が横顔に影を落とす。――嗚呼。彼らのことを考えているのだろう。先の戦を終えてから、兼続はよくこのような顔をするようになった。気付かないふりをしながら、慶次は俯く肩に触れる。
弾かれたように上がったおもてには、もう微笑みが貼り付いていた。
「寒くないかい」
「私は慣れているからな、大丈夫だ」
かつてはよく通る明朗な声で、危ういほど真摯に得意の演説を行っていた唇からは、今は穏やかな言葉しかこぼれない。そして少しだけ、彼は無口になった。
818「名残の雪だねえ」
こんな時季に、と笑い、慶次が縁から手を伸ばした。冷えた粒が指先で音もなく溶ける。傍らの兼続は僅かに口元を綻ばせ、風で揺れる髪を押さえた。
伏せた睫毛が横顔に影を落とす。――嗚呼。彼らのことを考えているのだろう。先の戦を終えてから、兼続はよくこのような顔をするようになった。気付かないふりをしながら、慶次は俯く肩に触れる。
弾かれたように上がったおもてには、もう微笑みが貼り付いていた。
「寒くないかい」
「私は慣れているからな、大丈夫だ」
かつてはよく通る明朗な声で、危ういほど真摯に得意の演説を行っていた唇からは、今は穏やかな言葉しかこぼれない。そして少しだけ、彼は無口になった。