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    木下

    kmjmt444

    DONE木下が紅葉の概要まとめたかった話。
     最近、記憶が無い時間が増えた。気がする、とかではない。確実に増えている。
     それはきっと、この土地に来たからだと、俺はそう思っている。

     ──きさな村。周囲を殆ど山岳によって構成されたこの地域に残る、今は人のいない廃村。俺とリョウはそこに仕事で訪れていた。
     季節は五月下旬。あんなに過ごしやすかった春はどこへ行ったのか、もう蒸し暑さが顔を覗かせていて、都会の街中では薄ら汗すらかくような暑さだった。だが、やはり自然の力なのだろうか。この村周辺に来ると森や川が多く、自然が豊富に残されているため、かなり過ごしやすいように感じている。
     ここに残されているのは自然だけではないようで、道中から村内にかけて妖なども多く見られた。そんなきさな村は三つの集落から形成されていて、昔は柿の名産地だったらしい。懐かしいなと思う。それで、村を構成する集落はそれぞれ『八集落』『九里集落』『五武集落』という名前らしい。その三つの集落を数日掛けて捜索する。捜索をする間は今までのホテルではなく、きさな村から車で約1時間ほどに位置する灰桜寺という場所を借りて拠点にしている。それが俺たちの現状だった。
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