榊原良子
いずみのかな
DONEパトレイバー ごとしの2019年のスーパーコミックシティにて発行した本の再録です。ほんのちょこっとだけ変えてます
4月1日に「今年のSCCの新刊はおこたでみかんを食べる話です」と書いた一か月後、本当に入稿していたエネルギッシュな一冊ですが内容はおだやか王道です。
それにつけても「後藤さんとしのぶさんはいま(18年冬)、二人おこたでみかんを食べている」(by榊原良子様)の破壊力はいまだおそろしい
和をもってとうとし1988年 9月
暦の上では今日から秋だというが、今年に限ってはだらだらとした冷夏の続きのようにしか思えず、肌寒さにカレンダーが追いついたような感覚だった。街も雨に濡れた暗い灰色に染まるように毎日沈んでいたが、それは梅雨のあとものんべんだらりと雨が絶えず降っているからだけではないだろう。下町からオフィス街、歌舞伎町に六本木、桜田門から目と鼻の先の銀座でさえもいまは自粛自粛の嵐、いまが千年程前なら、この天候もまた国の命運を表していると陰陽師が大仰に告げる場面だ。
ああ本当にチンケだねえ。二本目の煙草を力任せに灰皿に押しつけたところで、「待たせたな」と同僚が小走りで戻ってきた。
「どうだった?」
33692暦の上では今日から秋だというが、今年に限ってはだらだらとした冷夏の続きのようにしか思えず、肌寒さにカレンダーが追いついたような感覚だった。街も雨に濡れた暗い灰色に染まるように毎日沈んでいたが、それは梅雨のあとものんべんだらりと雨が絶えず降っているからだけではないだろう。下町からオフィス街、歌舞伎町に六本木、桜田門から目と鼻の先の銀座でさえもいまは自粛自粛の嵐、いまが千年程前なら、この天候もまた国の命運を表していると陰陽師が大仰に告げる場面だ。
ああ本当にチンケだねえ。二本目の煙草を力任せに灰皿に押しつけたところで、「待たせたな」と同僚が小走りで戻ってきた。
「どうだった?」