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    真山

    東瀬響

    DONE柴嶺、柘榴と真山の転生パロ②大学構内、第2学舎へ続く渡り廊下。
     初めて千暁と再会して別れたあの日から、すれ違うことのなかったそいつはふらりと俺の前に立ちふさがった。
     何の用だ、と目を向ける。そして見張る。あの日とは違う、意志の強い眼差しが俺を射抜く。

    「ッ、……やっぱお前、憶えてんだろ」

     思わず距離をとった。千暁が手のひらをこちらへ向けたからだ。

    「……もう炎は出せねぇよ」

     千暁が腕を下ろす。ポーズは間逆なのに、降参しているように見えた。
     一瞬体中が熱くなったけど、それも本当に一瞬で、すぐに訪れたのは呆れだった。 自嘲するように笑みを浮かべる千暁は記憶よりもずっと痩せていて、再会した時掴んだ腕の感触は間違いではなかったと確信する。
     かばんから出した紫の炭酸を投げ渡され、少し話がしたいと示された。缶を受け取ると千暁は小さく息を吐く。

    「俺だって、もう消えたりしねーし、悠真も同じ。幻なんて、薬でもキメない限り見れないってさ」
    「何、アイツそんな冗談言うようになってんの」
    「そーだよ。俺が仕込んだ」
    「言い方。いつ?」
    「俺は幼稚園の時。何回やっても壁すり抜けらんねぇから思い出した」
    「ヤバイ子供 1835