耳掃除
さめしば
TRAINING付き合ってない冬駿の日常SS 耳掃除編「なあ冬居、耳かき貸して」
声に振り返ると、小指を片耳に突っ込み顔を歪めた幼馴染みと目が合った。僕の部屋でゲームをして、一頻り楽しんだ後はだらだらと過ごす日曜の午後。隣に住む幼馴染み——山田駿が要求したのは、他愛もないことだった。
「えーっと、耳かき耳かき……あった。どーぞ」
目当てのものを机の抽斗から探り当て、ベッドに寝転がる彼に手渡す。耳垢を受けるためのティッシュも添えて。
「サンキュ。ってこれ、光るやつじゃん。なんか懐かしー感じ」
「そういえば僕が子どもの頃からあるかも。今はこの部屋に置いてるけど、元々は母さんのだよ」
「物持ちいいよなー、お前んち。おお、ちゃんと電池も生きてる」
「へえ、ほんとだ」
1712声に振り返ると、小指を片耳に突っ込み顔を歪めた幼馴染みと目が合った。僕の部屋でゲームをして、一頻り楽しんだ後はだらだらと過ごす日曜の午後。隣に住む幼馴染み——山田駿が要求したのは、他愛もないことだった。
「えーっと、耳かき耳かき……あった。どーぞ」
目当てのものを机の抽斗から探り当て、ベッドに寝転がる彼に手渡す。耳垢を受けるためのティッシュも添えて。
「サンキュ。ってこれ、光るやつじゃん。なんか懐かしー感じ」
「そういえば僕が子どもの頃からあるかも。今はこの部屋に置いてるけど、元々は母さんのだよ」
「物持ちいいよなー、お前んち。おお、ちゃんと電池も生きてる」
「へえ、ほんとだ」
きたまお
TRAINING兵長の耳掃除をする団長。でもヨーロッパの人って耳かきしないらしいですね。リヴァイが自分の右耳に小指を突っ込んでいた。次に、右に頭を傾け、左側頭部を軽く掌底で叩いている。「よければ耳かき使うか」
エルヴィンは机の引き出しから耳かきを取り出した。竹製の薄く細い精巧なつくりである。たまたまトロスト区の商店で見かけて入手したが、お気に入りの品だ。
しかし、エルヴィンが取り出した耳かきを見たリヴァイは、露骨に眉間にしわを寄せた。
「そうか、潔癖のおまえには他人の耳かきなど気持ち悪いだけか」
しまい直そうとしたエルヴィンに、リヴァイが、あ、いや、と声をかける。
「……使ったことがねえ」
「そうなのか? 一度も?」
リヴァイがこくりとうなずいた。もともとの小柄さとあいまって、とても実年齢には見えない。
「耳掃除、してやろうか」
そうと決まれば善は急げ。リヴァイに手伝わせて、長椅子を窓のそばに移動する。エルヴィンは日の光が当たっている側に座り、自分の膝を叩いた。
「頭をここにのせなさい」
長椅子の座面を見下ろしたリヴァイは口をへの字に曲げた。
「おい」
「この姿勢が一番都合がいいだろう。ほら」
不承不承、リヴァイは長椅子に横たわった。黒髪の小作りな頭がエル 1227