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    耳掃除

    きたまお

    TRAINING兵長の耳掃除をする団長。でもヨーロッパの人って耳かきしないらしいですね。リヴァイが自分の右耳に小指を突っ込んでいた。次に、右に頭を傾け、左側頭部を軽く掌底で叩いている。
    「よければ耳かき使うか」
     エルヴィンは机の引き出しから耳かきを取り出した。竹製の薄く細い精巧なつくりである。たまたまトロスト区の商店で見かけて入手したが、お気に入りの品だ。
     しかし、エルヴィンが取り出した耳かきを見たリヴァイは、露骨に眉間にしわを寄せた。
    「そうか、潔癖のおまえには他人の耳かきなど気持ち悪いだけか」
     しまい直そうとしたエルヴィンに、リヴァイが、あ、いや、と声をかける。
    「……使ったことがねえ」
    「そうなのか? 一度も?」
     リヴァイがこくりとうなずいた。もともとの小柄さとあいまって、とても実年齢には見えない。
    「耳掃除、してやろうか」
     そうと決まれば善は急げ。リヴァイに手伝わせて、長椅子を窓のそばに移動する。エルヴィンは日の光が当たっている側に座り、自分の膝を叩いた。
    「頭をここにのせなさい」
     長椅子の座面を見下ろしたリヴァイは口をへの字に曲げた。
    「おい」
    「この姿勢が一番都合がいいだろう。ほら」
     不承不承、リヴァイは長椅子に横たわった。黒髪の小作りな頭がエル 1227