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    設楽

    totonton88

    MOURNING気の向くままに書いてたら完全にまとまりがなくなってしまったので供養。
    設楽聖司(30)のコンサートを聴きに行った女子高校生の手記みたいなもの。
    設バン要素はほんの匂わせ程度。というかそもそも設楽聖司がほとんど登場しない。いつかどうにかアレンジするなりまとめるなりしたい。

    ※35歳にするか30前後にするか迷いに迷って30歳にした結果、GS4とパラレルみたいな世界線になってしまったのでご承知おきを…
    初恋のバラード その音色を、わたしはきらきらと煌めくダイヤモンドみたいだと思った。
     見た目はまるで繊細で、でもほんとうは何よりも強くて、ひとたび光を当てれば虹色にだって輝く、ダイヤモンドのような音。
     象牙の板を叩くだけで産まれるその音色に、わたしにはどうあがいても手に入りそうにないその音色に、羨望とか嫉妬とか、ありとあらゆる感情を抱いた。コンサートが終わり、帰り支度を始めるざわついた観客席の中で、わたしは誰も居なくなったステージを眺めてさめざめと泣くことしか出来なかった。

     ◇◇◇

     小さいころからわたしは、母に連れられてクラシックのコンサートを聴きに行くことがよくあった。
     母は、自分がなれなかった「ピアニスト」という夢をどうにかしてわたしに押しつけたいらしく、プロの演奏をわたしに聴かせてはやれこの人はこういう特徴があるだのこの人は何歳のころにあのコンクールで優勝しただの、わたしが一ミリも興味のない情報をべらべらと喋るのが好きだった。
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