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    @splendid1220

    REHABILI再掲 ヨクスナ
    ヨクがスナを寝かしつける話
    mmrkの子守唄に無限の可能性を感じている
    寝かしつける話父であり、憧れであり、一線を超えた仲でもある。全てが複雑に絡み合った関係性が倒錯するのは、そう難しいことでもない。ほんの少しの均衡が崩れれば呆気なく瓦解する。だからこそ一度許せば箍が外れることは目に見えているので、普段から甘やかされることを許してはいなかった。
     今日は「最近夢見が悪い」とうっかり漏らしたからで————もっと言うなら、単純に寝不足だったからで。
    「どこかに流される夢を見るんです。何を掴んでも絶対に流されて、流された先には誰もいない。……なんだか、気味が悪くて」
     それならば、深い海へ引き摺り込もうとする腕に絡め取られた方がマシかもしれないと、ぼんやり思ってしまった。

     いつだったか。ずいぶんと幼い頃に聴いた憶えがある音階が狭いテントに静かに響いている。身体を包む毛布の温かさと、背を支える腕から与えられるゆったりとした振動が、抗えないほどの眠気を誘っている。ぐずるような歳でもないのに、何とか抵抗しようと足掻きたくなるのは本能からの危険信号が故だろうか。ともかく、このまま眠ってしまえば一人で起きられる気がしないのだ。喉の奥から呻き声を絞り出しながら、がっしりした肩口にぐりぐりと額を押し付けた。
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