EXO
minato18_
DONE一騎と甲洋/EXO廻り会い、廻り出す話
再廻 ずっと、深い青の底で眠りについていた。否、正確には少し違う。意識はあった。それはきっと、新たな存在としての己を受け入れてから、絶え間なく。
———声が、聞こえた。痛みに悶える声が。争いを嘆く声が。喪いたくないと、必死に叫ぶ声が。
幾多の想いが微睡むだけだった意識に形を与えた。記憶からかつての器を形成し、今にも消えようとしていた灯(あかり)を両手で抱きとめる。それをすぐ近くにいた幼馴染みに託して、光が差し込む方へとのぼっていく。
そうして数年ぶりに青の世界から飛び出した甲洋は、島を守るべく戦場へと降り立った。
***
帰投したブルクは沈痛な空気に満ちていた。流れ込んでくる激情に、未だにかつてと同じようには機能しない心でさえ鈍い痛みを覚えた。
4042———声が、聞こえた。痛みに悶える声が。争いを嘆く声が。喪いたくないと、必死に叫ぶ声が。
幾多の想いが微睡むだけだった意識に形を与えた。記憶からかつての器を形成し、今にも消えようとしていた灯(あかり)を両手で抱きとめる。それをすぐ近くにいた幼馴染みに託して、光が差し込む方へとのぼっていく。
そうして数年ぶりに青の世界から飛び出した甲洋は、島を守るべく戦場へと降り立った。
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帰投したブルクは沈痛な空気に満ちていた。流れ込んでくる激情に、未だにかつてと同じようには機能しない心でさえ鈍い痛みを覚えた。
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DONE一総/EXO前おそろいの秘密を抱えていた話
一総利き小説企画参加作品です。素敵な企画をありがとうございました!
お題「秘密」「おそろい」
光芒 最初に『それ』を自覚したとき、心に決めた。
このひみつだけは、誰にも知られないようにしよう、と。
***
「はい、あがり~」
ランチタイムの波を乗り越え、穏やかな空気が流れていた喫茶〈楽園〉の店内に楽し気な声が響く。思わず端末から顔を上げた総士は、状況を把握するべくボックス席の方を振り返った。
「えぇ!? また遠見先輩が一番ですかぁ!?」
「うう、む……今度こそは勝てると思ったのだが」
「里奈ちゃんもカノンもまだまだだねぇ」
テーブルを囲んでいるのは、休憩中の真矢と生徒会の会議まで暇をつぶしている里奈とカノンだ。それぞれ手にトランプを持っているのを見るに、ババ抜きでもしていたのだろう。三人でやるには面白みに欠ける気がするが、悔しそうな顔をしている二人を見ると存外白熱しているらしい。
3694このひみつだけは、誰にも知られないようにしよう、と。
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「はい、あがり~」
ランチタイムの波を乗り越え、穏やかな空気が流れていた喫茶〈楽園〉の店内に楽し気な声が響く。思わず端末から顔を上げた総士は、状況を把握するべくボックス席の方を振り返った。
「えぇ!? また遠見先輩が一番ですかぁ!?」
「うう、む……今度こそは勝てると思ったのだが」
「里奈ちゃんもカノンもまだまだだねぇ」
テーブルを囲んでいるのは、休憩中の真矢と生徒会の会議まで暇をつぶしている里奈とカノンだ。それぞれ手にトランプを持っているのを見るに、ババ抜きでもしていたのだろう。三人でやるには面白みに欠ける気がするが、悔しそうな顔をしている二人を見ると存外白熱しているらしい。
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DONE暉とマリス/EXO太陽に背を向けた少年の回顧録
逆光 その人は、まるで太陽だった。
***
「出来ましたー!」
可能な限り元気良く叫ぶと、テントの方が賑わったのが気配でわかった。歓声に掻き消されないようにか、あるいはこちらに負けたくなかったのか、投げた声より遥かに元気な返事が飛んでくる。
「暉くんも広登くんも元気だねぇ」
「俺たちが暗い顔してたら、みんなが気にするので」
くすくすと笑う真矢から食器を受け取り、湯気が立つスープを溢さないように入れていく。あまり入れ過ぎると全員に行き渡らないので分量にも気を配らなくてはならない。せめて小さい子どもたちにはお腹いっぱい食べて欲しいのだが、そうも言っていられない状況が心苦しかった。
この旅がはじまって今日で何日になるのだろう。島を出るときから覚悟を決めていたはずだが、現実はそれを容易く上回ってくる。平穏を求める大航路は終わりの見えない旅路だった。いつフェストゥムの襲来があるか知れない緊張感、人々を守り切れるのかという不安。きちんと立っているつもりの地面は、気を抜けば呆気なく崩れてしまいそうなほど脆く感じた。それでも、心強い先輩が駆け付けてくれてからは少しばかり余裕が出来た。
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「出来ましたー!」
可能な限り元気良く叫ぶと、テントの方が賑わったのが気配でわかった。歓声に掻き消されないようにか、あるいはこちらに負けたくなかったのか、投げた声より遥かに元気な返事が飛んでくる。
「暉くんも広登くんも元気だねぇ」
「俺たちが暗い顔してたら、みんなが気にするので」
くすくすと笑う真矢から食器を受け取り、湯気が立つスープを溢さないように入れていく。あまり入れ過ぎると全員に行き渡らないので分量にも気を配らなくてはならない。せめて小さい子どもたちにはお腹いっぱい食べて欲しいのだが、そうも言っていられない状況が心苦しかった。
この旅がはじまって今日で何日になるのだろう。島を出るときから覚悟を決めていたはずだが、現実はそれを容易く上回ってくる。平穏を求める大航路は終わりの見えない旅路だった。いつフェストゥムの襲来があるか知れない緊張感、人々を守り切れるのかという不安。きちんと立っているつもりの地面は、気を抜けば呆気なく崩れてしまいそうなほど脆く感じた。それでも、心強い先輩が駆け付けてくれてからは少しばかり余裕が出来た。
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DONE甲操/EXO後諦めていただれかの話
湊の甲操さんには「天の川は渡れない」で始まり、「穴があったら入りたい」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば10ツイート(1400字程度)でお願いします。
https://t.co/WGztph4SNV
無題 天の川は渡れない。そう言ったのは誰だったか。
はじめて七夕を知ったのは、まだこの世界が平和だった――当たり前過ぎて、平和の何たるかを知らない子どもの頃だった。
織姫と彦星の切ない恋物語。女の子たちが盛り上がっていたけれど、俺にはいまいちよくわからなかった。
好きな人と一年に一度しか会えないなんて、そんなの苦しいだけじゃないのか。好きなら待つのではなく川を渡る努力をすればいいのに。
「絶対、天の川は渡れない」
俺の心を読んだように、ぽつりと誰かが言った。
***
「こーよー、これはどこに置くのー?」
「キャビネットの横かな。あとで俺がやるから、来主は短冊用意して」
「はーい!」
元気よく返事をした来主は、ぱたぱたと走って来てカウンター席に座った。それから一騎が用意してくれた色紙とハサミとにらめっこをはじめる。
1557はじめて七夕を知ったのは、まだこの世界が平和だった――当たり前過ぎて、平和の何たるかを知らない子どもの頃だった。
織姫と彦星の切ない恋物語。女の子たちが盛り上がっていたけれど、俺にはいまいちよくわからなかった。
好きな人と一年に一度しか会えないなんて、そんなの苦しいだけじゃないのか。好きなら待つのではなく川を渡る努力をすればいいのに。
「絶対、天の川は渡れない」
俺の心を読んだように、ぽつりと誰かが言った。
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「こーよー、これはどこに置くのー?」
「キャビネットの横かな。あとで俺がやるから、来主は短冊用意して」
「はーい!」
元気よく返事をした来主は、ぱたぱたと走って来てカウンター席に座った。それから一騎が用意してくれた色紙とハサミとにらめっこをはじめる。
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DONE甲操/EXO後雨の日に甲洋を迎えに行く操の話
君と散歩日和 初夏にふさわしい、突き抜けるような青い空が広がっている。
「きれーな空!」
珈琲喫茶楽園海神島店。その表に置かれた看板を書き換え終えた操は、空を見上げて嬉しそうに声をあげた。どんな空も好きだけれど、やはり晴れ渡る青空は格別だ。
「来主、終わった?」
「うんっ! 昨日より上手に書けたよ!」
ちょうど良いタイミングで扉から顔を出した甲洋を手招きで呼ぶ。操の傍らに来た甲洋は看板を見ると僅かに目を見開いた。それが本気で感心しているときの反応だと知っている操は甲洋がなんて言うのかわくわくしながら待つ。
「……すごいね。文字に君の個性が出てきてる」
「個性?」
「文字は同じ記号だろ? だけど、書く人によって少しずつ形が変わるんだ」
1867「きれーな空!」
珈琲喫茶楽園海神島店。その表に置かれた看板を書き換え終えた操は、空を見上げて嬉しそうに声をあげた。どんな空も好きだけれど、やはり晴れ渡る青空は格別だ。
「来主、終わった?」
「うんっ! 昨日より上手に書けたよ!」
ちょうど良いタイミングで扉から顔を出した甲洋を手招きで呼ぶ。操の傍らに来た甲洋は看板を見ると僅かに目を見開いた。それが本気で感心しているときの反応だと知っている操は甲洋がなんて言うのかわくわくしながら待つ。
「……すごいね。文字に君の個性が出てきてる」
「個性?」
「文字は同じ記号だろ? だけど、書く人によって少しずつ形が変わるんだ」
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DONE甲操/EXO後操が見つけた甲洋の癖の話
きみの癖 人間には無意識の内に行ってしまう行動があるんだって。癖、っていうもの。それは手足の動かし方だったり話し方だったり、個体によって違うらしい。
「面白いよね」
「何が?」
コーヒーを淹れた甲洋が俺の左隣に座って小さく首を傾げる。俺は甲洋が先に用意してくれてたオレンジジュースをストローで吸い上げて喉を潤してから甲洋に向き直った。曇ってるときの空みたいな色の目が俺に向けられてる。
甲洋は話すときに相手のことをじっと見つめるから、その目の中に俺が映ってて、まるで空の中に浮いてるみたいだなって思う。
「来主?」
黙ってじぃっと見つめてたら甲洋がちょっとだけ眉を顰めた。俺が何か変なこと考えてるんじゃないかって心配してるときの顔だ。信用ないなぁ。ひどいよーって気持ちを表すためにぷくっと頬を膨らませると甲洋が可笑しそうに吹き出した。あ、ちょっとかわいい顔。
2039「面白いよね」
「何が?」
コーヒーを淹れた甲洋が俺の左隣に座って小さく首を傾げる。俺は甲洋が先に用意してくれてたオレンジジュースをストローで吸い上げて喉を潤してから甲洋に向き直った。曇ってるときの空みたいな色の目が俺に向けられてる。
甲洋は話すときに相手のことをじっと見つめるから、その目の中に俺が映ってて、まるで空の中に浮いてるみたいだなって思う。
「来主?」
黙ってじぃっと見つめてたら甲洋がちょっとだけ眉を顰めた。俺が何か変なこと考えてるんじゃないかって心配してるときの顔だ。信用ないなぁ。ひどいよーって気持ちを表すためにぷくっと頬を膨らませると甲洋が可笑しそうに吹き出した。あ、ちょっとかわいい顔。
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DONE甲甲操EXO後の甲操と15歳のかすがいくんの話。
ミミさん(@usausamm5)の素敵イラストが元のお話です
元ネタ
https://twitter.com/usausamm5/status/1353314436396662785?s=20
What do you want? 可愛いなぁ。
口に出したつもりはなかったんだけど、目の前のちっちゃい甲洋が顔を赤くしてるから多分言葉にしてたんだと思う。別にいいよね、ほんとにそう思ったわけだし。
「甲洋」
俺の記憶にあるより小さな手を取って首元に誘導する。スカーフに触れた手がひくっと跳ねた。
《この人ほんと何考えてるんだ…!?》
戸惑う声が聞こえてくる。俺の甲洋と違って心に壁なんて作れないから駄々漏れだ。それがまた可愛くて笑ったら後ろから不機嫌そうな咳払いが聞こえた。余裕ぶってるけどいつもよりちょっとぴりぴりしてる。変なの。誘ってみたらって言ったの、甲洋なのに。
俺がそんなこと考えてる間もちっちゃい甲洋はずっと混乱してて、何とか逃げようと引いた小さな手がスカーフに引っ掛かった。
1363口に出したつもりはなかったんだけど、目の前のちっちゃい甲洋が顔を赤くしてるから多分言葉にしてたんだと思う。別にいいよね、ほんとにそう思ったわけだし。
「甲洋」
俺の記憶にあるより小さな手を取って首元に誘導する。スカーフに触れた手がひくっと跳ねた。
《この人ほんと何考えてるんだ…!?》
戸惑う声が聞こえてくる。俺の甲洋と違って心に壁なんて作れないから駄々漏れだ。それがまた可愛くて笑ったら後ろから不機嫌そうな咳払いが聞こえた。余裕ぶってるけどいつもよりちょっとぴりぴりしてる。変なの。誘ってみたらって言ったの、甲洋なのに。
俺がそんなこと考えてる間もちっちゃい甲洋はずっと混乱してて、何とか逃げようと引いた小さな手がスカーフに引っ掛かった。
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MEMOEXO 操関連セリフ21話総士「空にもう一体だと?……どこへ行く?まさか!」
美羽「あ……」
アニラ「また来た。終わりだ……」
エメリー「違う。来てくれた!」
弓子「あなたたちの声が届いたのよ、美羽……!」
美羽「うん。美羽も嬉しいよ、生まれたこと」
肉体を意識するように深呼吸をして
「空気。命。綺麗な空……」
22話
「行こう。痛みを消しに」
ナレイン「フェストゥム……!?」
総士「来たか、援軍が!」(名前呼べや)
キース「フェストゥムに守られやがって!同化された連中は!だから殺されるんだよっ!」
佐喜「距離二十!ファフナー部隊、エンゲージ!」
ジェレミー「多数のエウロス型が展開中!」
織姫「敵じゃない。新しいコアが目覚めた」
史彦「我々より早く駆け付けたか……速やかに敵を撃退!剛瑠島部隊は救助にあたれ!」
有子「美三香……?」(出撃するより先に移動の気配を感じ立ち上がる)
美三香、ツクヨミ搭乗
溝口さん「全部焼く気か……!それでも人間か!」
「人が生み出す火か。焼かれるのはやだな」落ちていく爆撃を眺めながら
彗 咆哮
アマテラス、僅かなりとも撃ち落さんと前へ
スサノオ 2562