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    clam

    いずみのかな

    DONEある方に「(大抵に承花が含まれている)CLAMPの作品みたいな」とお言葉もらって、なるほどそれだ、と納得したのでカプのタグをつけましたが、どうぞお好きなように読んでください。へんてこな話です。
    ペルソナでないほうのP2のパロとしても読めますのでで苦手な方もいらっしゃると思います、お気をつけください。
    パロ的なところで語りますと、こういう男のこういう話だったと、思うんですよ。
    砂上 こんな夢を見た。

     男はもうとても長いこと世界を記録していた。自分の名前を忘れ、自分の姿がどういうものかも忘れていたが、ただ、誰かを待っていることは憶えていた。昔、待っていると告げた人が自分の目の前で去ったとき、すべての時間が止まり、そして白い大地の隙間に黒い線がすぅと立ち上っているのが見え、その硝子のようにすべてを置いて透き通ったものを押したら、そこはなにもない空間だった。そうして男は時間から離れ、この場所で世界を記録しつづけているのだ。
     男が茫洋と世界の全てを見ているうちにも、日は昇り、日が沈み、月は満ちそして欠けていった。多くの人たちが不幸になり幸せになり、なにかを得てなにかを失っていった。ニューヨークのビル街でアラブの移民が口ずさんだ歌が風に乗り、ゴビ砂漠に住む少年の耳に届く様を見た。アゼルバイジャンの山奥で老婆が織った美しい布がオーストラリアの花嫁を飾るところを見た。ある青年は雪一面のアラスカで倒れて二度と動かなかった。ある中年の女は自分の人生を取り戻そうと殴る男から離れ、一人バスクの巡礼へと向かった。ガンジスは流れ、イラクの遺跡は崩れ、アマゾンの緑は毎年燃えた。
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