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    koi

    はも@🐈‍⬛🎏原稿

    SPUR ME恋音展示が間に合わない文量になったので、現在できてるところまで公開します!本当にすみません!完成したら完全版をpixivに投稿しますので、よろしくお願いします。
    函館に引っ越してきた鯉登くん(16)が冬季鬱っぽくなったのを、ここぞとばかりに手を差し出して手に入れようとする尾形百之助(21)の話です。
    極夜にて「尾形はあたたかくて、すきだ」
     そう言って尾形の膝の上に形の良い丸い頭を置いて少年が呟く。少年の声は声変わりが済んでもまだ少しばかり声が高く、甘い。
     尾形、おがた。何度も甘い声で名前を呼ばれ、尾形はくつくつと肩を揺らして笑う。
    「なぁ、もうここで暮らせよ」
     艶のある黒紫の髪を撫で、少年の耳を指で柔く揉む。たったそれだけなのに、少年の耳が赤く染まる。黒い瞳がゆっくりとこちらを向く。気が強い性格で、誰にも弱ったところを見せようとしなかった子どもが、今は縋るような目で尾形をじっと見つめている。
     この少年には自分しかいない。言葉で言われなくとも、少年の視線、表情、態度で解る。それが尾形にとって他の何にも変えられない幸福――黒くどろどろした幸せが自身を染めていく感覚にうっすらと微笑んだ。
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    kasa

    DONE鯉月とごはん企画、とてもかわいいので失礼します。鯉:大学生、月:大学事務 の現パロです。
    ※ネップリ期間終了しました!印刷してくださった方、ありがとうございました〜!
    鯉月とごはん「なんですかこれは」
     月島の眼前には桃色、黄緑、黄色、紫などの丸い繊細なパステルカラー達が白い化粧箱に並んで収められている。
    「マカロンだ」
    「まか……ろん……?」
    「本気か月島ァ……」
    「冗談に決まってるでしょう。そういうことを聞いているわけじゃありません」
     訂正。月島の眼前には、かわいらしい、およそ月島に差し出されるには似つかわしくないマカロンのボックスを手にした鯉登がいる。

     月島は食堂にいた。ネクタイを胸ポケットに押し込み、袖をまくり、カツ丼を前に手を合わせていたとこに鯉登が突撃してきたのだった。
     月島が事務員として勤めている大学に鯉登が新入生として入学してきたのはつい4月のことで、手続きのために窓口で受付を担当した月島に対面した鯉登は、傷も髭もシワもない、随分と若々しい笑顔で喜びの雄叫びを上げた。何かと話しかけてくる年若い不思議な昔なじみに「仕事の邪魔をしないでください」とピシャリ突きつけてからはこうして昼休憩や終業のタイミングを見計らって懐かれている。
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