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    メランコ

    hariyama_jigoku

    DONEウァプドラ小説。習作。「メランコリーを食んだ」.

     長い廊下に、寝言とも酔っ払いの戯言ともつかない声が落ちる。どちらにしろ、その男に肩を貸して半ば引きずるように歩くウァプラには何を言っているのかの判別はつかなかった。どうにか目的の部屋に辿り着き、乱暴にドアを開けてアンドラスを押し込む。
     勝手知ったる、という程ではないが見慣れたアンドラスの私室を睥睨して、寝台にでも放り投げておくのが正解かと重い体を抱え直す。
    「ウァプ、ラ……?」
     久しぶりに耳に届いた意味の通った単語に、つい足を止めた。衝撃で起きたなら丁度いいと、下がった頭を睨みつける。
    「起きたんなら、さっさと自分で立ちやがれ」
    「はは、酷いなあ」
     肩にかけていた腕を下ろすと、足元は多少危なっかしいもののどうにかアンドラスは自力で立ち上がった。これでお役御免だと、ウァプラは踵を返す。
     そもそも、酔っ払いに絡まれたのか珍しく酒気を漂わせてテーブルに寝ていたアンドラスを、通りがかったからという理由で押し付けられたのが事の発端だ。ソロモン曰く、最近よく行動を共にしているのを見たというのが理由らしいが、一方的にアンドラスが関わってくるというのが正しい。それを仲良しだなんだの括り 2246