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    yellow

    BBD_6P

    MOURNINGハン→→←ルス(ハンルス?)
    花吐き(※嘔吐表現あり)両片想い/保護者コヨ/冒頭にハンとモブのからみがある
    ハンは黄色い花ばっか吐くんじゃないか…と思って試しに書いてみました。
    Yellow Belly(en) 臆病者

    2022/9/15 15:34 /fusetter /再掲
    Yellow Belly 1.
     絶好調を標榜して憚らない男がその病を得たのは単なる偶然だった。
     任地から離れた街にある静かなバーのスツールのうえ、グラスの底に残ったわずかなバーボンを楽しみながら帰宅の頃合いを窺っていた彼の背に見知らぬ男が手を触れた。剣呑な気配に振り向くと男は慌てたように手を放し、失礼、とごく簡単に詫びてみせる。失礼した…知った顔だと思ったものだから。
     誰だか知らないが口説かれるつもりはない。笑顔に拒絶を滲ませると、気圧されたように男は身を引いた。本当に違うんです…あなたには、他意も興味もありません。ただ、ただ…死んだ親友に…見えて…。
     それは予想以上に弱い口調だったので、彼は初めて相手の顔を見た。誠実そうな男だ。そして疲れている。清潔なシャツの襟は崩れ、タイを引き抜いた胸元は漂うアルコールに薄っすらと赤らんで、しかし秀でた額は蒼褪めていた。なおも迷惑を詫びつつ去ろうとする男の体がゆらりと傾いだのを思わず抱き留めたのは生まれ持った何かのせいだったが、その腕の中で件の男は口許を押さえ激しくせき込み崩れ落ちる。いささかの切迫感を以て名も知らぬ男に呼びかけ、脱力するからだを抱きなおしたそのとき、真夏の草原のようなにおいが立ち込めた。思わず見おろした足元には、淡い紫のアスターが降り積もっていた。
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