kurautu
DONE本編終了後のみかねじ未満です。distortion 呻く声は扉を開く前から聞こえていた。ノックに返事がないのは予想がついていた。鍵を外して部屋へと入る。白いベッドの上で丸くなった体は胎児のようだった。あの頃まで、喜怒哀楽の全ての中に放り投げられる前まで戻れたのなら、そこから動かずにいるのが一番幸せなのかもしれない。
「痛むのか?」
命に別状はない、という診断結果だったけれど、動きを止められる程度には攻撃を受けているのだからとても軽傷とは言えない状態だった。乱れたシーツから覗く足首には包帯が巻かれている。まっさらな白は、病室の中にあっても馴染まずに浮いて見える。
「じきに鎮痛剤も効いてくる。少しの辛抱だ」
さっき投与されたのは、鎮痛剤と呼ぶには少し強すぎる代物だ。彼を苛んでいるのはおそらく傷の痛みだけではない。俺の声が聞こえているのかどうかも定かではなかった。包帯を巻かれた足がシーツを蹴る。また新しく弧が描かれる。強張った手が暴れるように動く。今にも波間に沈もうとしているようだった。
2475「痛むのか?」
命に別状はない、という診断結果だったけれど、動きを止められる程度には攻撃を受けているのだからとても軽傷とは言えない状態だった。乱れたシーツから覗く足首には包帯が巻かれている。まっさらな白は、病室の中にあっても馴染まずに浮いて見える。
「じきに鎮痛剤も効いてくる。少しの辛抱だ」
さっき投与されたのは、鎮痛剤と呼ぶには少し強すぎる代物だ。彼を苛んでいるのはおそらく傷の痛みだけではない。俺の声が聞こえているのかどうかも定かではなかった。包帯を巻かれた足がシーツを蹴る。また新しく弧が描かれる。強張った手が暴れるように動く。今にも波間に沈もうとしているようだった。
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DOODLE泥酔合同提出用の道タケ道タケが帰り道デートするだけ
恋は戦争 お疲れさまでした、の声にこもった熱気は、嫌いじゃない。道流は柔道の試合で頭を下げるように深くお辞儀をする。隣にいたタケルも静かながらお疲れさまですと伝え、漣はというと大きなあくびをしながら先に楽屋へ戻っていった。その背中をタケルと苦笑しつつ見守り、「自分たちも戻るか」と足を向ける。
今日の仕事はCM撮影で、午前に稽古、午後に本番というかなり詰まったスケジュールだった。それでも上手く、余裕をもってこなせるのは我らが虎牙道の良いところではあるが、自分たちほどの体力を普通のキャストや、監督や、カメラマンや、音響や、そのほかのスタッフが持っているわけではないことをちゃんと知っている。タケルの顔色にも疲労はうかがえないが、他のキャストが顔に浮かべているのは達成感だけではない。
1313今日の仕事はCM撮影で、午前に稽古、午後に本番というかなり詰まったスケジュールだった。それでも上手く、余裕をもってこなせるのは我らが虎牙道の良いところではあるが、自分たちほどの体力を普通のキャストや、監督や、カメラマンや、音響や、そのほかのスタッフが持っているわけではないことをちゃんと知っている。タケルの顔色にも疲労はうかがえないが、他のキャストが顔に浮かべているのは達成感だけではない。
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SPUR ME今度の再録本への書き下ろしのとても短いエミケタ(道タケ)のサンプル。短いやつを短くしてるからとても短い。狐の嫁入り 喉が渇いた。くら、と回りそうになる視界をどうにか抑えてケタンは大地に立つ。皆少しでも渇きを抑えるためにか室内に篭っており、視線は感じられない。
「もったいないな。あの舞踏大会での実質優勝者のダンスが見れるっていうのに」
ケタンがそう言うと、隣でエミドゥが「はは」と短く笑った。エミドゥも長い日照りのせいで相当参っているのか表情に疲れが見える。
干ばつとくれば雨乞いの儀式は欠かせない。この国では雨乞いにも決まったダンスがある。そういった儀式は由緒ある家系の、富裕層の人間がやるものだが今回はあの日の舞踏大会で実質の優勝を果たしたエミドゥに白羽の矢が立ったようだ。
しかし雨乞いの儀式も一人でこなせるものではない。共に舞う人間として、エミドゥはザキレトかケタンをと指名した。それをザキレトが「めんどくせえ」の一言で済ませたから、ケタンが隣に立つことになった。
599「もったいないな。あの舞踏大会での実質優勝者のダンスが見れるっていうのに」
ケタンがそう言うと、隣でエミドゥが「はは」と短く笑った。エミドゥも長い日照りのせいで相当参っているのか表情に疲れが見える。
干ばつとくれば雨乞いの儀式は欠かせない。この国では雨乞いにも決まったダンスがある。そういった儀式は由緒ある家系の、富裕層の人間がやるものだが今回はあの日の舞踏大会で実質の優勝を果たしたエミドゥに白羽の矢が立ったようだ。
しかし雨乞いの儀式も一人でこなせるものではない。共に舞う人間として、エミドゥはザキレトかケタンをと指名した。それをザキレトが「めんどくせえ」の一言で済ませたから、ケタンが隣に立つことになった。
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SPUR ME尻たたき兼サンプル。12月のゆるパバでこんな書き下ろしの入った再録本が出ます(サンプルに道タケ要素少ないですが書き手が道タケなので道タケです)(あとレンレンこじらせています)ONES 序幕 無重力
揺れる宇宙船の中で、大柄で軍服を着た者が舵を握っていた。その隣の貧しい身なりの者はひっきりなしに船外の様子を探っては伝えている。宇宙船ぎりぎりを流星がかすめ、貧しい身なりの者が冷や汗を流す。限界を悟ったのか、彼は振り返った。
「『おい、神とやら! お前の力でどうにかならないのか』」
神と呼ばれた者はふん、と鼻を鳴らした。
「『もうやっている』」
舞うように、その指先が虚空で曲線を描いた。それに合わせてまた船の外で流星が落ちる。もうやっている、というのは本当らしいと悟って貧しい身なりの者はまた様子を探ることにした。そして舵を握る軍服を着た者に伝えて、星を避けてもらう。
船は今、流星群へ突入しようとしていた。三人と積み荷がいくつかあるだけの小さな船だ。流星群の中に進んでしまえばひとたまりもない。
8283揺れる宇宙船の中で、大柄で軍服を着た者が舵を握っていた。その隣の貧しい身なりの者はひっきりなしに船外の様子を探っては伝えている。宇宙船ぎりぎりを流星がかすめ、貧しい身なりの者が冷や汗を流す。限界を悟ったのか、彼は振り返った。
「『おい、神とやら! お前の力でどうにかならないのか』」
神と呼ばれた者はふん、と鼻を鳴らした。
「『もうやっている』」
舞うように、その指先が虚空で曲線を描いた。それに合わせてまた船の外で流星が落ちる。もうやっている、というのは本当らしいと悟って貧しい身なりの者はまた様子を探ることにした。そして舵を握る軍服を着た者に伝えて、星を避けてもらう。
船は今、流星群へ突入しようとしていた。三人と積み荷がいくつかあるだけの小さな船だ。流星群の中に進んでしまえばひとたまりもない。
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DONE感情が未分化な漣と恋愛感情を理解したくないPの漣×創作男性P~道タケ未満を添えて~恋を知らないエゴイスト 前
プロデューサーという肩書ではあれど、小さい事務所なのでマネージャーの真似事もする。私はスマートフォンのアラームと共に表示されたスケジュールを確認して、THE虎牙道の迎えがそろそろかと車を飛ばした。
THE虎牙道は本日舞台仕事の読み合わせの日だった。台本は先日演出家経由で受け取り、渡してあるのだがスケジュールが立て込んでいてじっくり読むような時間はなかった。道流さんはともかくタケルさんと漣さんはてこずっているだろう。台詞さえ覚えてしまえば他の役者には表現できないほどのアクションを見せてくれるのが彼らではあるが。
読み合わせ会場である貸会議室にノックをしてから顔をのぞかせる。やはりというか、少し時間は押しているようだ。まだ評価段階だ。
18172プロデューサーという肩書ではあれど、小さい事務所なのでマネージャーの真似事もする。私はスマートフォンのアラームと共に表示されたスケジュールを確認して、THE虎牙道の迎えがそろそろかと車を飛ばした。
THE虎牙道は本日舞台仕事の読み合わせの日だった。台本は先日演出家経由で受け取り、渡してあるのだがスケジュールが立て込んでいてじっくり読むような時間はなかった。道流さんはともかくタケルさんと漣さんはてこずっているだろう。台詞さえ覚えてしまえば他の役者には表現できないほどのアクションを見せてくれるのが彼らではあるが。
読み合わせ会場である貸会議室にノックをしてから顔をのぞかせる。やはりというか、少し時間は押しているようだ。まだ評価段階だ。
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DOODLEそしてこちらが2018年みちる誕で書いた道タケ2018年(息を飲む)
2018みちる誕道タケ 去年、だって、めちゃくちゃ喜んでくれただろ。そう言って彼が台所に立ってくれた時は正直、ヒヤヒヤした。あまり過去を語りたがらない彼が「これでも、施設時代は回り番で料理係してたから」とまで呟いて、自分を安心させようとしてくれたのもわかっているが。それでも、だ。
そわそわしながら見守り続けて、なんとなくひと段落着いてきたことだけ察して、やっと息を吐いたのが今さっき。自分の空気が変わったことを察したのか、ふと振り返ってタケルは笑った。
「な、大丈夫だっただろ。出来ることは少ないけど、慣れてはいるんだ」
「そっか……いやあ、でも使ったことない台所だろ、わかりづらくなかったか」
「いつも円城寺さんが作ってくれるの、見てたから。あ、円城寺さん、ラップ……と、チンして良い皿、貸してくれ。深めのやつ」
3043そわそわしながら見守り続けて、なんとなくひと段落着いてきたことだけ察して、やっと息を吐いたのが今さっき。自分の空気が変わったことを察したのか、ふと振り返ってタケルは笑った。
「な、大丈夫だっただろ。出来ることは少ないけど、慣れてはいるんだ」
「そっか……いやあ、でも使ったことない台所だろ、わかりづらくなかったか」
「いつも円城寺さんが作ってくれるの、見てたから。あ、円城寺さん、ラップ……と、チンして良い皿、貸してくれ。深めのやつ」
苔娘。
DOODLEアイドルマスター SideM S.E.M 腐向け 宅飲み。山下×硲、舞田×硲 この先はおそらく3Pになるであろう時空。
(3Pに傾れ込むなら、リバとか、2人攻め+1人受け、1人攻め+2人攻めなども私は好きなため、表記について悩みどころです。) 4
しんべえ
DONE鬼翔真とリメショ雨彦の鬼ショタ雨華小説。四話目。
新婚生活が始まりました。既におしどり夫婦。
狐に嫁入り 四翔真と駆け落ちするかのように実家を出るつもりの雨彦だったが、こんな事態になったとて、彼は葛之葉家の大事な嫡子である。まさか路頭に迷わせるわけにはいかないので、父と叔母は、住居なら在る、と、場所を提案してきた。
ひとつは、今井町。
雨彦は、良い顔はしなかった。桜井から西にあり、さほど離れてもいない。ちょくちょく様子を見に来られるのは、嫌だった。
江戸初期に建てられた町屋が建ち並ぶ様は美しく、翔真は喜ぶかもしれないが、其処に住む豪商が古くから自治権を握るような一帯なので、新参者の事をあれやこれや詮索されると面倒だ。
もうひとつは、ぐっと離れて、奈良市。しかも、二月堂裏参道に面しているという。
これには、雨彦は、おっ、と思った。
9490ひとつは、今井町。
雨彦は、良い顔はしなかった。桜井から西にあり、さほど離れてもいない。ちょくちょく様子を見に来られるのは、嫌だった。
江戸初期に建てられた町屋が建ち並ぶ様は美しく、翔真は喜ぶかもしれないが、其処に住む豪商が古くから自治権を握るような一帯なので、新参者の事をあれやこれや詮索されると面倒だ。
もうひとつは、ぐっと離れて、奈良市。しかも、二月堂裏参道に面しているという。
これには、雨彦は、おっ、と思った。
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DOODLEもう何を投稿して何を投稿してないのかわかんなくなってきたので今日でひとまず連続再投稿終わり!今後は気が向いたときに。最後はお気に入りのミルナタ(道タケ)
月影の王 音さえも凍ったように冷えている。民に限らず、家畜も家禽も、王や太陽さえも眠り、流れる川の音だけが温度を残してごうごうと響いている。世界にたったひとりになってしまったような錯覚を抱きながら、反乱の子は王宮から町を見下ろした。
視野の狭窄な、王であった。ナタケイルにはその自覚がある。目の前の民を守るため、外交に目を向けなかった。王族として生まれたというのに、そのための教育も受けてきたというのに、兄があまりにも民を省みぬものだから、半ば躍起になって「民」に固執した。国の外が見えなくなっていた。そして反乱を起こしたのだ。二度も、血の繋がった兄に刃を向けた。
町にかざした手を見つめる。ぐっと握る。人を殺すことが罪だとは言わない。だが、兄弟を殺めることは、殺める覚悟ができることそのものは、少なからず、罪だと思えた。
14758視野の狭窄な、王であった。ナタケイルにはその自覚がある。目の前の民を守るため、外交に目を向けなかった。王族として生まれたというのに、そのための教育も受けてきたというのに、兄があまりにも民を省みぬものだから、半ば躍起になって「民」に固執した。国の外が見えなくなっていた。そして反乱を起こしたのだ。二度も、血の繋がった兄に刃を向けた。
町にかざした手を見つめる。ぐっと握る。人を殺すことが罪だとは言わない。だが、兄弟を殺めることは、殺める覚悟ができることそのものは、少なからず、罪だと思えた。
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DOODLEでこにーなのりばーしぶるきゃんぺーんが何回聴いてもレンレンなんですよ……という話「光へ」のおまけ小話なので道タケタグ失礼します
こんな筈ない 足を何度となく床に擦り付ける。それで感覚が消えることを願ったがそういうわけにもいかない。むずがゆい、幻肢痛のような不快感を吐き捨てるように漣は舌打ちをした。
目の前にいる男は、見えなくなる病が両目とも進行していたという。自分より小さいくせにそんなハンデを抱えてどうするつもりなのだろうと思っていたら、もう一人の男が常に寄り添うようになってしまった。漣にとって世界は父と、下僕であるプロデューサーと、美味い飯をつくるらーめん屋と、そして倒すべき相手であるチビの四人と、その他大勢くらいのもので(さすがに事務所の仲間くらいは名前も覚えたが)自分の心の大部分を占める人間四人のうちふたりが、ふたりっきりになることを選んでしまってはどうしようもなかった。父はもうこの場にはいない。プロデューサーはプロデューサーでしかなく、漣個人の味方ではない。それくらいは理解している。では、残りのふたりは、と思って、漣はまた地面を蹴りつける事しか出来なくなる。
10066目の前にいる男は、見えなくなる病が両目とも進行していたという。自分より小さいくせにそんなハンデを抱えてどうするつもりなのだろうと思っていたら、もう一人の男が常に寄り添うようになってしまった。漣にとって世界は父と、下僕であるプロデューサーと、美味い飯をつくるらーめん屋と、そして倒すべき相手であるチビの四人と、その他大勢くらいのもので(さすがに事務所の仲間くらいは名前も覚えたが)自分の心の大部分を占める人間四人のうちふたりが、ふたりっきりになることを選んでしまってはどうしようもなかった。父はもうこの場にはいない。プロデューサーはプロデューサーでしかなく、漣個人の味方ではない。それくらいは理解している。では、残りのふたりは、と思って、漣はまた地面を蹴りつける事しか出来なくなる。
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DOODLE今日話題に出したので命の終わりに愛が残れば 廃墟にまで標的たちを追い込んだと言うべきか、彼らが上手く逃れてきたと言うべきか。もう知ったことではないが、クローの構えたピストルを前に標的の最後の一人は怯えたように笑った。
口から飛び出る、醜くも美しい、定型文じみた懇願の声。どいつもこいつもおんなじことばっかりでつまんねえ、と口を尖らせたのはファングで、セブンは何も言わない。クローは「懇願する相手を間違えてるぜ」と眉をひそめた。そのままトリガーを引く。標的の体内に入り込んだそれは紅い花を咲かして命を奪うがクローは目を歪ませた。
「君の死神は僕じゃない。僕は死神の爪でしかないんだ」
ぼそりと呟いて、ぱっと振り返る。そのときにはもう微笑を湛えており、一部始終を見ていたファングもまた、さきほどのクローと同じように目を歪ませる。もちろんそれだけで終わるはずもなく舌打ちも。そして目を逸らした。
4154口から飛び出る、醜くも美しい、定型文じみた懇願の声。どいつもこいつもおんなじことばっかりでつまんねえ、と口を尖らせたのはファングで、セブンは何も言わない。クローは「懇願する相手を間違えてるぜ」と眉をひそめた。そのままトリガーを引く。標的の体内に入り込んだそれは紅い花を咲かして命を奪うがクローは目を歪ませた。
「君の死神は僕じゃない。僕は死神の爪でしかないんだ」
ぼそりと呟いて、ぱっと振り返る。そのときにはもう微笑を湛えており、一部始終を見ていたファングもまた、さきほどのクローと同じように目を歪ませる。もちろんそれだけで終わるはずもなく舌打ちも。そして目を逸らした。
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DOODLE完結編も出た今となってはもはや読めもしないエンカイWant My xxx Back!注意書き
・エンカイが死ぬ話です
・後味はよくない
・書き手はレッカもとい牙崎漣こじらせ芸人
・サイバネ2が来る前にお話を考え、イベ予告を見て慌てて書き上げたもの
--- * ---
アンドロイドとの戦争を終えた人類は、少しばかりアナログで、しかし安全な生活を強いられていた。
反乱の指導をしていた自律型アンドロイド、ロイの演算ログが解析され、今回のことはすべて「プログラム上のバグ」と片付けられている。出荷時点でセキュリティホールはなかったし、アップデートも頻繁にあった。しかしそれを上回るスピードで、ウィルスは進化し、バグは生み出される。ほんの小さなほころびは別のほころびを誘発し、思考回路は暗澹へと落ちていく。ロボット工学三原則の第一条「ロボットは人間に危害を加えてはならない」というデータ上に生まれたバグは、修復も出来ないままロイの体を巣食い、そして攻撃用コマンドのインストールが開始された。人類へ敵意を向けたアンドロイドは、しかしたったひとりでの攻撃が不可能と理解し、全世界共通サーバーにハッキングを仕掛け、通信機能をもったアンドロイドのすべてをジャック。同じバグを産むようにウィルスを撒き、反乱の仲間に引きずり込む。――これが、事の発端だ。顛末の方は、エンドーたち捜査班の活躍と、解析班による調査でどうにか蹴りがついた。首謀格であったロイは破壊され、その他のアンドロイドについてもシャットダウンが施された。解析も済み、ロイ暴走の原因が公表された結果、バグの修正とセキュリティ強化が済むまですべての自律思考システムが停止している。もちろん、その向こうに存在するイーサンについての捜査も始まっているが、その足取りは未だ掴めていない。
20312・エンカイが死ぬ話です
・後味はよくない
・書き手はレッカもとい牙崎漣こじらせ芸人
・サイバネ2が来る前にお話を考え、イベ予告を見て慌てて書き上げたもの
--- * ---
アンドロイドとの戦争を終えた人類は、少しばかりアナログで、しかし安全な生活を強いられていた。
反乱の指導をしていた自律型アンドロイド、ロイの演算ログが解析され、今回のことはすべて「プログラム上のバグ」と片付けられている。出荷時点でセキュリティホールはなかったし、アップデートも頻繁にあった。しかしそれを上回るスピードで、ウィルスは進化し、バグは生み出される。ほんの小さなほころびは別のほころびを誘発し、思考回路は暗澹へと落ちていく。ロボット工学三原則の第一条「ロボットは人間に危害を加えてはならない」というデータ上に生まれたバグは、修復も出来ないままロイの体を巣食い、そして攻撃用コマンドのインストールが開始された。人類へ敵意を向けたアンドロイドは、しかしたったひとりでの攻撃が不可能と理解し、全世界共通サーバーにハッキングを仕掛け、通信機能をもったアンドロイドのすべてをジャック。同じバグを産むようにウィルスを撒き、反乱の仲間に引きずり込む。――これが、事の発端だ。顛末の方は、エンドーたち捜査班の活躍と、解析班による調査でどうにか蹴りがついた。首謀格であったロイは破壊され、その他のアンドロイドについてもシャットダウンが施された。解析も済み、ロイ暴走の原因が公表された結果、バグの修正とセキュリティ強化が済むまですべての自律思考システムが停止している。もちろん、その向こうに存在するイーサンについての捜査も始まっているが、その足取りは未だ掴めていない。
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DOODLE1日1作再投稿お気に入りのセブクロ(道タケ)
バースデープレゼント 3 years ago
「お前たち、歳と誕生日は」
運転席の男はそう聞いておきながら、ハンバーガーにかぶりついた。その間に返事があるかと思ったのだろうか。残念ながら僕は到底答える気にはならない。A-7は溢れたソースを親指の腹で拭い、ちらりと助手席の僕を見た。
「食わないのか、それ。買ってやったのに」
「……、そうだな。『そっちの味が食べたくなっちゃったな。食べかけでいいから交換してくれる?』」
「ふ、俺に毒見をさせたな? 優秀で結構。A-30は」
「もう食った」
後部座席から丸めた包み紙が飛んできて、フロントガラスにぶち当たって落ちた。A-7は笑ってそれを拾い上げる。テイクアウトした時の紙袋に仕舞ってから、僕の手から未開封のハンバーガーを取り上げ、代わりに食べ掛けを。僕のものだったハンバーガーはほんの数口で食べきられた。
14393「お前たち、歳と誕生日は」
運転席の男はそう聞いておきながら、ハンバーガーにかぶりついた。その間に返事があるかと思ったのだろうか。残念ながら僕は到底答える気にはならない。A-7は溢れたソースを親指の腹で拭い、ちらりと助手席の僕を見た。
「食わないのか、それ。買ってやったのに」
「……、そうだな。『そっちの味が食べたくなっちゃったな。食べかけでいいから交換してくれる?』」
「ふ、俺に毒見をさせたな? 優秀で結構。A-30は」
「もう食った」
後部座席から丸めた包み紙が飛んできて、フロントガラスにぶち当たって落ちた。A-7は笑ってそれを拾い上げる。テイクアウトした時の紙袋に仕舞ってから、僕の手から未開封のハンバーガーを取り上げ、代わりに食べ掛けを。僕のものだったハンバーガーはほんの数口で食べきられた。
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DOODLE今は亡きえむすての恒常SSRたけるチェ前これもどーせ2018年とかだよ何年前?考えたくない
兄弟を思い出すタケルの話 彼がこちらを見ていないときがある。どこか遠くを、目で追いかけて、そしてふっと伏せる。次に顔を上げればその顔はいつも通りの「大河タケル」で、自分たちは、深く尋ねることができないまま、もう何年も隣にいる。
例えば、買い出しの途中の商店街。
例えば、ロケ先に向かう新幹線の中。
例えば、ライブ中の観客席。
大河タケルが、アイドルではなく、いつかの「お兄ちゃん」に戻る瞬間はいつでも存在して、こちらが声をかけるまでもなく彼はアイドルの大河タケルに帰ってくる。
そうして振り返って、また前を向いたタケルに自分はなんと言っていいのかわからなくて(わかりたくもないのかもしれない)、いつも名前を呼んで、話題を逸らして、おしまいだ。
903例えば、買い出しの途中の商店街。
例えば、ロケ先に向かう新幹線の中。
例えば、ライブ中の観客席。
大河タケルが、アイドルではなく、いつかの「お兄ちゃん」に戻る瞬間はいつでも存在して、こちらが声をかけるまでもなく彼はアイドルの大河タケルに帰ってくる。
そうして振り返って、また前を向いたタケルに自分はなんと言っていいのかわからなくて(わかりたくもないのかもしれない)、いつも名前を呼んで、話題を逸らして、おしまいだ。
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DOODLE2018/07/01……2018年?
光へ!注意書き
・エムマスとエムステごちゃまぜ設定(マス中心。ステの設定はタケルの網膜剥離だけ)
・年取るアイドル(開始時点でタケル20、漣21、道流27)
・割とよく喋るプロデューサー
ざっくり言えばくっつかない道タケが牙崎漣に振り回されてる話です。
--- * ---
新曲のジャケットには炎を写し込んで「THE虎牙道らしい」ものにしましょう、とは、プロデューサーの案だった。もうすぐデビューCDの発売日、つまり三周年。その記念日に被せて発売する予定だから、原点に立ち返ろうということだ。確かに獣や炎と言った単語は活動初期に大切にしてきたイメージコンセプトで、二つ返事でタケルと道流は了承し、漣は「なんでもいい、それよりダンスは今までで一番激しいやつを寄越せ」といつも通りの文句を述べた。
68852・エムマスとエムステごちゃまぜ設定(マス中心。ステの設定はタケルの網膜剥離だけ)
・年取るアイドル(開始時点でタケル20、漣21、道流27)
・割とよく喋るプロデューサー
ざっくり言えばくっつかない道タケが牙崎漣に振り回されてる話です。
--- * ---
新曲のジャケットには炎を写し込んで「THE虎牙道らしい」ものにしましょう、とは、プロデューサーの案だった。もうすぐデビューCDの発売日、つまり三周年。その記念日に被せて発売する予定だから、原点に立ち返ろうということだ。確かに獣や炎と言った単語は活動初期に大切にしてきたイメージコンセプトで、二つ返事でタケルと道流は了承し、漣は「なんでもいい、それよりダンスは今までで一番激しいやつを寄越せ」といつも通りの文句を述べた。
しんべえ
DONEリメショ雨彦×鬼翔真の鬼ショタ雨華小説。三話目。
狐に嫁入り 参鬼といっても様々な鬼が居るが、その中でも翔真は特殊な、不死、或いは長寿の鬼である。
聞けば、元は新潟の生まれで、齢三十を前に見た目が全く変わらなくなり、以降、三百年近く生きているという。
家族仲良く暮らしていたが、鬼は自分だけで、理由も、先天的か後天的かも分からないようだ。
親族が皆人生を全うすると、翔真はひとりぼっちになってしまった。
もともと、田舎より都での生活に憧れていたのもあり、あるとき、思いきって故郷を飛び出したのである。
翔真は雨彦に初めて会った日、京都から来たと言っていたが、実はその前は、東京や大阪にも居た時期があった。
転々と、というのは、要はその場所には長く居られず、逃げるように動き回っているのだ。
8323聞けば、元は新潟の生まれで、齢三十を前に見た目が全く変わらなくなり、以降、三百年近く生きているという。
家族仲良く暮らしていたが、鬼は自分だけで、理由も、先天的か後天的かも分からないようだ。
親族が皆人生を全うすると、翔真はひとりぼっちになってしまった。
もともと、田舎より都での生活に憧れていたのもあり、あるとき、思いきって故郷を飛び出したのである。
翔真は雨彦に初めて会った日、京都から来たと言っていたが、実はその前は、東京や大阪にも居た時期があった。
転々と、というのは、要はその場所には長く居られず、逃げるように動き回っているのだ。
しんべえ
DONEリメショ雨彦×鬼翔真の鬼ショタ雨華小説。二話目。時代設定は明治後期。
ほんのりエロ。
狐に嫁入り 弍桜井市巻向に、御綱祭りという奇祭がある。
五穀豊穣、子孫繁栄を祈る神事で、決して荘厳なものではなく、田遊び祭りである。
毎年ではないが、人手が足りないときは、父と共に手伝いや片付けに来ていた。今年は声が掛かった。
雨彦はこの祭りが苦手である。
当日。如月らしい、寒々しい灰色の空の下。今日は空気が一際冷たい。
二十人は居るであろう、酒の入った男達に担がれた大きな「雄綱」が、「雌綱」の待つ神社へ向かう。
雄雌は藁でこさえられた巨大な性器であり、これを見ただけでも、年頃の少年はげんなりとしてしまう。
前々日も、出発地の神社近くの広い納屋で、地元民らに混じり父と共に雄綱作りを手伝った。
父には昔馴染もおり、来たときは周りと楽しげであるが、雨彦は、大勢で和気藹々と男根をこさえるという状況に、無心を決め込み藁を纏めていた。
7015五穀豊穣、子孫繁栄を祈る神事で、決して荘厳なものではなく、田遊び祭りである。
毎年ではないが、人手が足りないときは、父と共に手伝いや片付けに来ていた。今年は声が掛かった。
雨彦はこの祭りが苦手である。
当日。如月らしい、寒々しい灰色の空の下。今日は空気が一際冷たい。
二十人は居るであろう、酒の入った男達に担がれた大きな「雄綱」が、「雌綱」の待つ神社へ向かう。
雄雌は藁でこさえられた巨大な性器であり、これを見ただけでも、年頃の少年はげんなりとしてしまう。
前々日も、出発地の神社近くの広い納屋で、地元民らに混じり父と共に雄綱作りを手伝った。
父には昔馴染もおり、来たときは周りと楽しげであるが、雨彦は、大勢で和気藹々と男根をこさえるという状況に、無心を決め込み藁を纏めていた。
しんべえ
DONEリメショ雨彦×鬼翔真の妄想鬼ショタ雨華小説。一話目。時代設定は明治後期。
ふんわりエロ表現あり。
続きます←
狐に嫁入り 壱「おキツネちゃん」
と、嫁から呼ばれる事にも、慣れてきた。
鼻がかった甘い声で呼び掛けられるのは、いつだって心地好い。
「寒いんでしょ?こっち来な」
新婚らしく二つの布団をぴたりとくっ付けてはいるが、身を寄せ合っては、いない。
弥生の夜はまだ冷える。先ほどから布団の中で身動ぎしていた雨彦は、ひょこ、と掛け布団から顔を出した。
藤紫色の瞳が、暗がりの中で光っている。
「ほら」
隣の布団で横になっている嫁......翔真が自分の布団を気持ち捲り、招く。
相手が寝巻きを着ていることに、雨彦は安心した。
同居してこの方、日々色仕掛けしてくるので、いなす事にも大分慣れたが、それでも、十代半ばの少年にとって刺激が強すぎる時もあった。
6808と、嫁から呼ばれる事にも、慣れてきた。
鼻がかった甘い声で呼び掛けられるのは、いつだって心地好い。
「寒いんでしょ?こっち来な」
新婚らしく二つの布団をぴたりとくっ付けてはいるが、身を寄せ合っては、いない。
弥生の夜はまだ冷える。先ほどから布団の中で身動ぎしていた雨彦は、ひょこ、と掛け布団から顔を出した。
藤紫色の瞳が、暗がりの中で光っている。
「ほら」
隣の布団で横になっている嫁......翔真が自分の布団を気持ち捲り、招く。
相手が寝巻きを着ていることに、雨彦は安心した。
同居してこの方、日々色仕掛けしてくるので、いなす事にも大分慣れたが、それでも、十代半ばの少年にとって刺激が強すぎる時もあった。