ayase
DONE1月15日開催 【サスナルwebオンリー】~交差する手は絆となる3~ にて初公開の新作SSです。イベ限定公開にしてましたが、常設しときます。学パロサスナルです。初パロディデビューです。
こういうサスナルかわいいな……と妄想してたら、メルヘン少女漫画になりました。
また、現在サスナル作品は新作・既存作共にポイピクのみで展示しております。今後もこちらで活動予定です。よろしくお願いします。
ハッピーシンドローム 古今東西、流行り廃りというものはどこにでもある。特に学生のうちは学内が全てに近しい。一種の村社会と言っても過言ではないだろう。カーストが自然とでき、噂話はあっという間に広がる。だから、今回も一過性のブームが起きていることをなんとなく察した。
「なあ、それってなんかご利益でもあんの?」
ナルトは怪訝そうな顔で「それ」を指さした。視線の先にあるのは、小指に輝く淡いピンクの指輪だ。飾りもない、シンプルなつくりをしている。だが、確実に存在感はあった。つけている本人……春野サクラの髪と同じ色の輪っか。ナルトは机に頬杖をついた。なにもこの小さなリングをつけているのはサクラに限った話ではない。ぐるりと周りを見渡す。うん、やはりだ。姦しく話に花を咲かせる女生徒たち。彼女たちのほとんどが小指に輝く輪をつけている。つまり今の「流行り」なのだ。唐突に投げかけられた疑問にサクラはきょとんと大きく瞬きをした。指差されたリングに目を落とす。そして少し考えるように、視線をうろつかせる。どうにも煮え切らない態度だ。ナルトはじっと彼女の小指を睨んだ。すると頬を軽く紅潮させ、ぼそぼそと小声で呟く。
5435「なあ、それってなんかご利益でもあんの?」
ナルトは怪訝そうな顔で「それ」を指さした。視線の先にあるのは、小指に輝く淡いピンクの指輪だ。飾りもない、シンプルなつくりをしている。だが、確実に存在感はあった。つけている本人……春野サクラの髪と同じ色の輪っか。ナルトは机に頬杖をついた。なにもこの小さなリングをつけているのはサクラに限った話ではない。ぐるりと周りを見渡す。うん、やはりだ。姦しく話に花を咲かせる女生徒たち。彼女たちのほとんどが小指に輝く輪をつけている。つまり今の「流行り」なのだ。唐突に投げかけられた疑問にサクラはきょとんと大きく瞬きをした。指差されたリングに目を落とす。そして少し考えるように、視線をうろつかせる。どうにも煮え切らない態度だ。ナルトはじっと彼女の小指を睨んだ。すると頬を軽く紅潮させ、ぼそぼそと小声で呟く。
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DONE1.「君を想う」 同居シリーズの「夢の途中」の番外編※サイとサクラは友愛として描いていますが、手を繋ぐ、握る描写があります
2.「愛すべき君たちへ」 カカシ先生から見た旧七班の三人
3.「薔薇色の日々」 シカマルの決意と彼から見た二人
CP色は薄いです。どれも他のみんなから見た二人のお話をまとめました。
あまりある未来[君を想う]
「ナルトは手を離さなかったんだね」とサイが言った。サクラは買い物かごを持ったまま、隣に立つサイの横顔を見上げた。いつも通り柔和な笑みを浮かべたまま、サイは「ナルトに野菜も食べさせよう」と手に取った茄子をかごに入れていく。
サイにとってはきっと何気ない言葉だった。記憶の中でまだ下忍だった頃の自分が涙を拭う姿が浮かぶ。サスケの手を離したくなかったのに、自分ではもうどうにもできなくてあの夜に離してしまった。そしてナルトの幼い背に一生のお願いを背負わせたのはサクラだ。当時は必死でなんとか絆を、離れていくあの人を取り戻したい一心だった。
自分のことばかりでナルトの気持ちをどれだけ踏みにじったのだろう。当時、ナルトがどんな思いだったのかはもう知りようがない。
5431「ナルトは手を離さなかったんだね」とサイが言った。サクラは買い物かごを持ったまま、隣に立つサイの横顔を見上げた。いつも通り柔和な笑みを浮かべたまま、サイは「ナルトに野菜も食べさせよう」と手に取った茄子をかごに入れていく。
サイにとってはきっと何気ない言葉だった。記憶の中でまだ下忍だった頃の自分が涙を拭う姿が浮かぶ。サスケの手を離したくなかったのに、自分ではもうどうにもできなくてあの夜に離してしまった。そしてナルトの幼い背に一生のお願いを背負わせたのはサクラだ。当時は必死でなんとか絆を、離れていくあの人を取り戻したい一心だった。
自分のことばかりでナルトの気持ちをどれだけ踏みにじったのだろう。当時、ナルトがどんな思いだったのかはもう知りようがない。
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DONE1.「星が鳴る」 苦悩するナルトと寄り添うサスケ(おじサスナル)2.「レゾンデートル」 ちょっといかがわしい二人(大戦後の二人)
3.「晴れの日」 里に戻り、日常を過ごす二人のひとこま(大戦後の二人)
サスナル短編集をひとつにしました。
僕らの道行[星が鳴る]
恒久的な平和。それは皆の願いだ。
五大国とは共にあの大戦を乗り越えたこともあり、各里の影たちと結びつきは強まった。国同士が対立することもめっきり減り、わだかまりはほぼ解けたと言っても過言ではないだろう。だがそれは、あくまでナルトたちの世代の話だ。次に続く世代がそうとは限らない。ナルトたち穏健派に続く者もいれば、自国の利益を巡って画策する者もいる。
どちらも間違いではない。だが、永続的な平和を願うなら不安要素はできるだけ排除して次世代に繋げたい。そう考えて毎日火影業に勤しんでいる。しかし、理想とは裏腹に簡単にいかない問題であるのも事実だ。
そもそもナルトは政治要素が絡んだ化かし合いなど最も不得意な分野だ。専らシカマルの助言でなんとか乗り切れているが、いつ手のひらを返してくるかも知れない大名たちに最近は辟易してきている。わかっている。それが自分の仕事だ。地道に道を作っていくしかない。それでももどかしさに歯噛みするときもある。
10510恒久的な平和。それは皆の願いだ。
五大国とは共にあの大戦を乗り越えたこともあり、各里の影たちと結びつきは強まった。国同士が対立することもめっきり減り、わだかまりはほぼ解けたと言っても過言ではないだろう。だがそれは、あくまでナルトたちの世代の話だ。次に続く世代がそうとは限らない。ナルトたち穏健派に続く者もいれば、自国の利益を巡って画策する者もいる。
どちらも間違いではない。だが、永続的な平和を願うなら不安要素はできるだけ排除して次世代に繋げたい。そう考えて毎日火影業に勤しんでいる。しかし、理想とは裏腹に簡単にいかない問題であるのも事実だ。
そもそもナルトは政治要素が絡んだ化かし合いなど最も不得意な分野だ。専らシカマルの助言でなんとか乗り切れているが、いつ手のひらを返してくるかも知れない大名たちに最近は辟易してきている。わかっている。それが自分の仕事だ。地道に道を作っていくしかない。それでももどかしさに歯噛みするときもある。
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DONEサスナル同居シリーズ2大戦後の二人が同居する世界線のシリーズです
1はこちら https://poipiku.com/5420781/6832996.html
サスケの突然の体調不良に慌てふためくナルト。
ナルトは自身にできる限りのことをして、サスケの身を案じるが事はそう簡単にいかず、二人の思いはすれ違ってしまい…
ナルトとサスケの生き方・価値観・忍という世界に焦点をあてて書きました。
告解 肌寒さで目が醒めた。夜も明けて間もないようだ。薄暗い視界の中、ナルトは掛け布団を口元までたぐり寄せた。まだ起きるには早い。もう一眠りしようと横に寝返りを打って、寝ぼけ眼で隣に敷かれた布団に目をやる。サスケの姿は見えない。代わりに敷布団の上にこんもりと山がひとつできていた。どうやら頭まで覆うようにして中に潜りこんでいるようだ。
「さすけぇ、どしたあ?」
寝起きで思うように舌が回らない。ナルトは眠い目を擦りながらもう一度声をかけた。返事はない。
「おーい」
仕方なく毛布を肩に羽織って布団から這い出る。布団の上から左右にサスケの身体揺らすと、くぐもった声で「揺らすな」と返ってきた。言葉通りに揺らすのをやめる。しかし一向に顔を出す気配がない。
15141「さすけぇ、どしたあ?」
寝起きで思うように舌が回らない。ナルトは眠い目を擦りながらもう一度声をかけた。返事はない。
「おーい」
仕方なく毛布を肩に羽織って布団から這い出る。布団の上から左右にサスケの身体揺らすと、くぐもった声で「揺らすな」と返ってきた。言葉通りに揺らすのをやめる。しかし一向に顔を出す気配がない。
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DONEサスナル同居シリーズ1大戦後の二人が里に戻ってきた後、しばらく共に生活するお話です。
割れ鍋に綴じ蓋[幸せの福音]
大戦後、里に帰り着くなり病院へ担ぎこまれたナルトとサスケはサクラや綱手たち医療忍者の尽力のお陰で片腕を失くした以外は大きな後遺症もなく済んだ。さすがに体力も気力も互いに限界だったようでサスケが次に目を覚ましたときには、里に帰ってきてからとうに四日は経っていた。
ナルトもつい先刻目覚めたらしい。隣のベッドの上で胡座をかいて椀にすりおろされた林檎を匙で掬って食べていた。味気ないのか不満げだ。サスケが目覚めたことに気づくと、ナルトは小憎らしい笑みを浮かべた。
「ようやくお目覚めかよ」
「うるせえ」
四日ぶりに出した声はみっともなく掠れてまるで老人のようだった。「お前も食べる?」と差し出された匙にサスケは首を横へ振る。重い身体をなんとか起こして部屋全体を見回した。室内にはナルトとサスケ以外に患者はおらず、大きめの個室をあてがわれたようだ。おそらく里長である綱手の気遣いなのだろう。床頭台の上に置かれた水差しが目に入り、サスケはひりつく喉を潤そうと手に取った。筋力もたった数日寝たきりだっただけで随分衰えたらしい。半分も水が入っていないというのにやけに重く感じる。
14119大戦後、里に帰り着くなり病院へ担ぎこまれたナルトとサスケはサクラや綱手たち医療忍者の尽力のお陰で片腕を失くした以外は大きな後遺症もなく済んだ。さすがに体力も気力も互いに限界だったようでサスケが次に目を覚ましたときには、里に帰ってきてからとうに四日は経っていた。
ナルトもつい先刻目覚めたらしい。隣のベッドの上で胡座をかいて椀にすりおろされた林檎を匙で掬って食べていた。味気ないのか不満げだ。サスケが目覚めたことに気づくと、ナルトは小憎らしい笑みを浮かべた。
「ようやくお目覚めかよ」
「うるせえ」
四日ぶりに出した声はみっともなく掠れてまるで老人のようだった。「お前も食べる?」と差し出された匙にサスケは首を横へ振る。重い身体をなんとか起こして部屋全体を見回した。室内にはナルトとサスケ以外に患者はおらず、大きめの個室をあてがわれたようだ。おそらく里長である綱手の気遣いなのだろう。床頭台の上に置かれた水差しが目に入り、サスケはひりつく喉を潤そうと手に取った。筋力もたった数日寝たきりだっただけで随分衰えたらしい。半分も水が入っていないというのにやけに重く感じる。