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    #シンジャ

    thinja

    おとなし

    DONE「シンドバッド少年の憂鬱」の後日談、子ジャちゃん視点の話です。あと一話の予定でしたが分かれてしまいました。読んでくださっている方がおられましたらごめんなさい。
    この話単体では健全ですが後編は年齢制限が入ります。

    ※倫理的に問題のある描写を含んでいますが該当行為を推奨するものではありません。
    ジャーファル少年の憂鬱 前編 二日ほど寝込んだあいだに、雪はすっかり溶けていた。寒々しくきれいな冬の朝は、呼吸をするだけで病み上がりの肺を洗うようだ。分厚い窓ガラスの結露を手のひらで拭うと、なめらかな藍色に沈んだ寒々しい街並みを、昇りくる朝日がまばゆい白に塗り替えてゆくのが見えた。屋根の上を走る朝焼けが議事堂の尖塔を照らし、そこから落ちた影がまっすぐに商館へ伸びて来ている。次いで商館沿いの大通りを見下ろすと、ボロを着た新聞配達の子どもが尖塔の影をくぐり息を切らせて駆けていくのが視界に入る。遠目から見てもあっちのほうが上背があるけど、たぶん同い年くらい。この時間、あの子はいつも山盛りの新聞を両脇に抱えて南へ走ってゆく。普段通りの光景。私が寝込んでいた間も、街の時間は日々同じように流れていたに違いない。
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    おとなし

    DONEナーポリア時代の子ジャちゃんが11歳か12歳かちょっと探しきれなかったので11歳になっています。間違いだったらすみません。商館を建ててからササンへ行くまでの日々を捏造するの、めちゃくちゃ楽しいです。あの時間でいろんな初めてを経験してほしい、、、(できるなら若シンくんに永遠に15歳でいてほしい)
    子ジャちゃん、ナーポリアで誘拐される 漁師は日の出より前に動きはじめ昼頃には仕事を終える。その後村に出て日銭を稼ぎ、日が落ちる前には病で臥せった母親の待つ家へ帰るのが幼い頃の暮らしだった。ところがどっこい。ナーポリアの夜はティソン村よりずっと遅い。船乗りたちはいつまでも酒場を占領しているし、女の子のいる店は空が白むまで暖簾を下ろさない。俺が酒の味を覚えたのはこの頃だ。仕事の接待を兼ねて。自分の息抜きのために。情報収集、あるいは顔を広げるため。理由はまあ色々あるけど、とにかく賑やかに楽しく過ごせる夜のナーポリアを、俺はいたく気に入っていた。
     その日も何軒かの店に顔を出して、ほどほどの所で切り上げて帰ってきた。ほどほどだったと思う。日付が変わってからほんのちょっとしか経ってないし。きれいなお姉さんを連れ込まなかったし。自分の足で商館に帰れるくらいしか飲まなかったし。火の落ちた厨房で汲み上げた水を飲んでいると、寝巻きを着込んだヴィッテルが食器を持って厨房へ入ってくる。夜食でもつまんでたんだろう。俺は右手をひらりと上げて、ヴィッテルはぺこっと頭を下げてそれぞれ挨拶を交わした。
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