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    #スレミク

    sremik.

    akanekokinoko

    DOODLEいただいたコメントに刺激されて浮かんだ風景を文章にしてみたもの。
    何気ない日常の一コマ。




    最後の一行、決戦前の時間軸だと思って読むと、少し違った見方ができるかもしれません。
     ちり、と小さな音がした。
    その音に促されるように目を開けば、ちらちらと踊るように揺れる梢が見える。
     休憩がてら心地良い木陰で寝転んでいたら、そのまま眠ってしまったらしい。暖かい陽気、心地よい風。絶好の昼寝日和なのだから仕方ない。
    ざあっと音がして、木の葉が数枚飛んでいく。
    少し風が出てきたようだ。先程の小さな音は、幹に立てかけておいた儀礼剣の紐の色石が立てた音だったのだろう。
    「スレイ?」
    風のようにそっと呼ばれ、スレイは声の主を見上げて微笑んだ。
    「あ、おはよ、ミクリオ」
    「おはようって、昼寝してたのに」
     呆れたように言って、ミクリオは立ち上がる。
    華奢な手が差し出され、その手を握って立ち上がれば、ミクリオがくすりと笑って手を伸べた。
    「髪。葉っぱがついてる」
    「え、うそ、どこ?」
    「じっとして」
    細い指が耳を掠め、髪に絡まった葉を掬う。ミクリオはそれをくるりと一度指で回して、柔らかく吹いた風に手を離した。
     ふわり、と舞った葉と揺れた浅葱色の服、木漏れ日を受けてきらきらと輝く銀青色の髪。
    現実離れした美しさ。それはまるで――青い青い空に、溶けて行こうとしているように思えて。
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