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    #マサホプ

    massahop.

    ナンデ

    DOODLEマサ→ホプ
    だいすき、だからどうかずっと 父親が残したのは海を渡った先にある古びた一軒家だけ、と分かった時、ママは泣きも恨みもしなかった。
    「クヨクヨしてたら、パパが悲しんじゃう」
     そう言って埃にまみれた窓を開け、真っ黒な床に箒をかけ、おれはというと家の外、門にもたれ掛かって口を開けていた。庭に住み着いていたスボミーたちは小さくて何の役にも立たない新しい住人であるおれに優しく(と言うのもママがスボミーたちを先住民として扱い追い出さず、ブラッシータウンで買ってきたきのみをひとつふたつと放ってやったからなのだが)ふるふる身体を震わせてはおれのほうを向き、太陽のほうを向き、ポケモンながらにいっちょまえにお兄さんお姉さんぶっている。
     おれは門の向こう側、ママのこしらえているおれの新しいおうちの外に全く知らない、見たこともない緑いっぱいの世界と、ガラル訛りがひどくっておれではとうてい聞き取れない言葉を話す大人たちがウールーを追いかけ回すのをぼうっと見ていた。ああ、せかいはなんてひろいんだろう!哀しいかな、齢四歳にして思い至ってしまった境地に、幼い身体は耐えられず、懐かしいホウエンの空を思い浮かべて涙をぽたりぽたりとこぼしてみたりもした。
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