Kirin_muzi
PROGRESS5/5超賢マナ新刊の小説パートのサンプルです。断片一
「ティコ湖にはさ、人魚の伝説があるんだって」
髪が雲みたいにたなびいて、ゆるゆると、揺れている。肩も、腹も、胸も、全部が揺れている。魂を揺らしながら笑っているのだ。
ミスラはそれを見るのが好きだ。胸にオレンジ色の花が甘ったるく咲くみたいな、くすぐったくうねるような感じがする。
「空から隕石が落ちてきてさ、他にいないような生き物たちがいっぱい生まれてね、その中には人魚もいたんだって」
「ふうん」
「だから、人魚は、星から生まれてきたんだよ」
突然、チレッタはお気に入りのベッドに横たわるみたいに、自然に後ろに倒れ、そのまま、湖に落ちていった。水はするりとチレッタを受け入れる。
「どう、人魚みたい?」水面に金の髪がふわりと広がっている。
5351「ティコ湖にはさ、人魚の伝説があるんだって」
髪が雲みたいにたなびいて、ゆるゆると、揺れている。肩も、腹も、胸も、全部が揺れている。魂を揺らしながら笑っているのだ。
ミスラはそれを見るのが好きだ。胸にオレンジ色の花が甘ったるく咲くみたいな、くすぐったくうねるような感じがする。
「空から隕石が落ちてきてさ、他にいないような生き物たちがいっぱい生まれてね、その中には人魚もいたんだって」
「ふうん」
「だから、人魚は、星から生まれてきたんだよ」
突然、チレッタはお気に入りのベッドに横たわるみたいに、自然に後ろに倒れ、そのまま、湖に落ちていった。水はするりとチレッタを受け入れる。
「どう、人魚みたい?」水面に金の髪がふわりと広がっている。
柚月@ydk452
DONEミス晶♂SS初めて猫になった日「あなた、良い加減にしてくださいよ。」
自室の扉を開けた晶を出迎えたのは、不機嫌を極限にまで突き詰めたミスラだった。彼は晶のベッドを我が物顔で寝そべりながらも、部屋の主人が帰ってきたからと言って退くこともしない。
ミスラの機嫌に周囲の空気も引き摺られたのか、帰ってきた晶がまず感じたのは寒さだった。この部屋だけ格段に寒さが増している。真っ当な人間なら、いや、この世界を生きる人ならば、不機嫌なミスラに近づくなど正気の沙汰ではない。世の真理とも言うべきそれは――幸か不幸か、晶には該当しなかった。
「すみません、どうしても急ぎの案件が重なってしまって…。待たせてしまって、申し訳ないです…。」
「本当です。北の国なら死んでますよ。ほら、手を握ってください。」
1796自室の扉を開けた晶を出迎えたのは、不機嫌を極限にまで突き詰めたミスラだった。彼は晶のベッドを我が物顔で寝そべりながらも、部屋の主人が帰ってきたからと言って退くこともしない。
ミスラの機嫌に周囲の空気も引き摺られたのか、帰ってきた晶がまず感じたのは寒さだった。この部屋だけ格段に寒さが増している。真っ当な人間なら、いや、この世界を生きる人ならば、不機嫌なミスラに近づくなど正気の沙汰ではない。世の真理とも言うべきそれは――幸か不幸か、晶には該当しなかった。
「すみません、どうしても急ぎの案件が重なってしまって…。待たせてしまって、申し訳ないです…。」
「本当です。北の国なら死んでますよ。ほら、手を握ってください。」
柚月@ydk452
DONE魔法舎ドタバタ事件簿シリーズ。Case1,マジカル⭐︎バナナ「ああ、ちょうど良いところに。暇ですよね?」
「げっ。」
「うわ…最悪…。」
魔法舎の談話室で、ミスラに声を掛けられたブラッドリーとオーエンは揃ってげんなりとした。夕食も済み、各々が好き勝手過ごしている自由な時間。ブラッドリーもオーエンも同じ空間に居たとは言え、二人で何かをしていた訳ではない。隙あればもちろん殺し合いをするが、今は奇跡的に殺伐とした空気は影を潜めていた。
ワイングラスを片手に晩酌をしていたブラッドリーは、チッと盛大に舌打ちする。
「暇じゃねぇよ、他を当たれ。」
「大好きな賢者様のところに、早く行ってよ。」
「今あの人、風呂に入ってるんですよね。」
二人の抵抗を他所に、ミスラはソファにどさりと身を投げた。そしてテーブル上にあったつまみを、当然のようにして口に入れる。
5501「げっ。」
「うわ…最悪…。」
魔法舎の談話室で、ミスラに声を掛けられたブラッドリーとオーエンは揃ってげんなりとした。夕食も済み、各々が好き勝手過ごしている自由な時間。ブラッドリーもオーエンも同じ空間に居たとは言え、二人で何かをしていた訳ではない。隙あればもちろん殺し合いをするが、今は奇跡的に殺伐とした空気は影を潜めていた。
ワイングラスを片手に晩酌をしていたブラッドリーは、チッと盛大に舌打ちする。
「暇じゃねぇよ、他を当たれ。」
「大好きな賢者様のところに、早く行ってよ。」
「今あの人、風呂に入ってるんですよね。」
二人の抵抗を他所に、ミスラはソファにどさりと身を投げた。そしてテーブル上にあったつまみを、当然のようにして口に入れる。
最早 風鈴
MENU3/4【まほやく学会】webオンリー発行予定「ステンドグラスに魔法をかけて」
新刊サンプルです✨
🌟スペースNo.Cお2
🌟オールキャラ/全年齢/A5/80p/700円
🌟BOOTHにて通販予定 17
柚月@ydk452
DONEミス晶♂短編3周年ログストネタ。こんな感じで駆けっこが始まったのかもしれない。
あなたに届ける物語貴方に届ける物語
「じゃじゃん!今日は魔法を使わずに!」
「駆けっこ対決して賢者ちゃんに物語をお届け〜!」
スノウとホワイトの朗らかな声が、食堂に響く。突如始まった提案に、ある者は怪訝な表情を浮かべ、ある者は淡々と聞き流す。
良くも悪くも変わらない、今となっては魔法舎の日常だ。
「駆けっこ対決ですか?魔法を使わずに?」
「南の国では、よくクラスの人達と遊んだりしたんですけど…。」
リケとミチルの返答に、良くぞ聞いてくれましたとばかりに双子は目を輝かせた。
「それじゃそれ!我らは魔法使いであるが故に、魔法を使えば大抵の事は片がつく。」
「もちろん魔法舎での訓練や依頼をこなしている皆は、当初に比べれば魔法力も協調性も育っておるじゃろう。」
2247「じゃじゃん!今日は魔法を使わずに!」
「駆けっこ対決して賢者ちゃんに物語をお届け〜!」
スノウとホワイトの朗らかな声が、食堂に響く。突如始まった提案に、ある者は怪訝な表情を浮かべ、ある者は淡々と聞き流す。
良くも悪くも変わらない、今となっては魔法舎の日常だ。
「駆けっこ対決ですか?魔法を使わずに?」
「南の国では、よくクラスの人達と遊んだりしたんですけど…。」
リケとミチルの返答に、良くぞ聞いてくれましたとばかりに双子は目を輝かせた。
「それじゃそれ!我らは魔法使いであるが故に、魔法を使えば大抵の事は片がつく。」
「もちろん魔法舎での訓練や依頼をこなしている皆は、当初に比べれば魔法力も協調性も育っておるじゃろう。」
柚月@ydk452
DONEミス晶♂短編ミスラが晶くんにマナ石を食べさせる話
冷たい温度冷たい温度
「今晩は、眠れそうな気がします。」
夕食後、談話室で晶の膝を枕に、ソファでごろりと寝そべっていたミスラが呟く。晶がその柔らかな髪を梳く度に、目を細める彼はまるで猫のようだ。
今この部屋には、二人しかいない。そのせいかいつもより静けさを感じるが、不思議と気まずさはなかった。もう短くもない時間を共に過ごしているお陰だと、そう思いたい。
晶はミスラの言葉に、視線を賢者の書から動かす。
「それは良かったです。もう部屋に戻りましょうか?」
「俺は別に、ここでも良いですけど。」
「駄目ですよ。ちゃんとお風呂に入って、着替えて寝た方が、絶対気持ちが良いです。」
「面倒だな…。」
魔法一つで、体を綺麗にすることも、着替えることも容易いが、今はそうした気分じゃないらしい。うだうだと晶の膝の上でごねる彼だったが、ようやく身を起こす。
1972「今晩は、眠れそうな気がします。」
夕食後、談話室で晶の膝を枕に、ソファでごろりと寝そべっていたミスラが呟く。晶がその柔らかな髪を梳く度に、目を細める彼はまるで猫のようだ。
今この部屋には、二人しかいない。そのせいかいつもより静けさを感じるが、不思議と気まずさはなかった。もう短くもない時間を共に過ごしているお陰だと、そう思いたい。
晶はミスラの言葉に、視線を賢者の書から動かす。
「それは良かったです。もう部屋に戻りましょうか?」
「俺は別に、ここでも良いですけど。」
「駄目ですよ。ちゃんとお風呂に入って、着替えて寝た方が、絶対気持ちが良いです。」
「面倒だな…。」
魔法一つで、体を綺麗にすることも、着替えることも容易いが、今はそうした気分じゃないらしい。うだうだと晶の膝の上でごねる彼だったが、ようやく身を起こす。
かき揚げ
INFO8/28【GOOD COMIC CITY 28】賢者のマナスポット8【西3-H27b】ミスルチ新刊漫画『なんとなく』A5 / 32p
2周年イベストより、オズに敗北したミスラを心配したルチルが流星雨の中ミスラを探しに行く、原作の幕間のお話です。
通販 https://ec.toranoana.jp/joshi_r/ec/item/040031003307/ 8
きいろ
DONEきょうはミミの日ですよ↓れたさんが素敵なミスファウSSを
書いてくださいました!
https://twitter.com/mhdakretta/status/1499364487190642689?s=21
kazat130
DONEまじょパの展示になります。素敵なイベントを開催して下さってありがとうございます。
1/15までネットプリント(セブン/ハガキサイズ)46637303を受付中です。
もしよかったら印刷してくださると嬉しいです。
近衛 無花果
DONEMerry Christmasなミス晶♀(非恋愛)窓からやってくるミスラサンタさんに触発されました
いつも通りの聖なる夜に がたり。窓が無遠慮に開き、肌を刺す冷たい風が部屋の中に雪崩れ込んだ。窓からの侵入者が顔を覗かせると部屋の中に積まれていたプレゼントの山も雪崩を起こして崩れていく。
「メリー……メリー、なんでしたっけ」
「メリークリスマスですよ。こんばんは、ミスラ」
「メリー、くりすます。賢者様」
真っ赤な衣服に身を包み、サンタになり切った--と本人が思っているだけの--ミスラは投げやりで舌足らずな挨拶を交わし、土足で晶の部屋に踏み入った。
嗚呼、と晶が嘆く。じとりと睨んで不満を露わにした。
ミスラは晶を見て、それから自分の足元を見て、それを何回か繰り返したのち、足に手を伸ばして靴を脱ぎ捨てた。それならばよしと晶は表情を緩めて、聖なる施しの魔法使いを歓迎した。
2098「メリー……メリー、なんでしたっけ」
「メリークリスマスですよ。こんばんは、ミスラ」
「メリー、くりすます。賢者様」
真っ赤な衣服に身を包み、サンタになり切った--と本人が思っているだけの--ミスラは投げやりで舌足らずな挨拶を交わし、土足で晶の部屋に踏み入った。
嗚呼、と晶が嘆く。じとりと睨んで不満を露わにした。
ミスラは晶を見て、それから自分の足元を見て、それを何回か繰り返したのち、足に手を伸ばして靴を脱ぎ捨てた。それならばよしと晶は表情を緩めて、聖なる施しの魔法使いを歓迎した。
近衛 無花果
DONEお題:残り香 ミス晶♀世界にあなたの残り香を
#まほ晶男女CPウィークリー
この世界にあなたの残り香を ──賢者は役目を終えると世界から忘れ去られる。それでも、何も残らないわけではないのだ。
──私には一体何がのこせるだろうか。
◆
晶がミスラを寝かしつけるという行為は毎夜行われるものではない。晶がひどく疲れていたり、ミスラが帰ってこなかったり、いつやると決まっているわけでもない。週に何度かミスラと晶のタイミングが良い時─もしくはミスラが我慢の限界に達した時─に突発的に行われる儀式のようなものだ。
初めのうちは恥ずかしさもあって手を握って寝かしつけていたが、そう何日も夜遅くまで付き合っていては晶の身がもたず、ひと月もする頃には同じベッドで共に寝るようになった。
そうなったあたりから、不思議なことに、他の魔法使いたちがミスラと晶が共に寝ていたことを敏感に感じ取るようになった。朝起こしにくるヒースクリフは別として、カインとハイタッチをする際には「今日もお疲れ様」と言われるし、フィガロなんかは「妬けちゃうな」なんて茶化してくる始末だ。
3752──私には一体何がのこせるだろうか。
◆
晶がミスラを寝かしつけるという行為は毎夜行われるものではない。晶がひどく疲れていたり、ミスラが帰ってこなかったり、いつやると決まっているわけでもない。週に何度かミスラと晶のタイミングが良い時─もしくはミスラが我慢の限界に達した時─に突発的に行われる儀式のようなものだ。
初めのうちは恥ずかしさもあって手を握って寝かしつけていたが、そう何日も夜遅くまで付き合っていては晶の身がもたず、ひと月もする頃には同じベッドで共に寝るようになった。
そうなったあたりから、不思議なことに、他の魔法使いたちがミスラと晶が共に寝ていたことを敏感に感じ取るようになった。朝起こしにくるヒースクリフは別として、カインとハイタッチをする際には「今日もお疲れ様」と言われるし、フィガロなんかは「妬けちゃうな」なんて茶化してくる始末だ。
orehamoudameda4
DONE図書館に本を返しに行くファウストとミスラが鉢合わせする話ややチレッタ。
図書館に本を返しに行くファウストとミスラが鉢合わせする話机の上に積んでいた一冊から、けたたましい鳥の声が響く。本にその魔法がかけられていることを完全に忘れていたファウストは思わず耳をふさぎ、紫の双眸を大きく開いて本を手に取った。
革表紙にぼうっと光の文字が浮かび上がり、それは明後日の日付を示している。返却期限であった。貸出期間が30年と比較的長期だったので、忘れないように過去の自分か店主が魔法を施していたのだろう。東の国の路地裏のさらに裏、地下深くにたたずむ古い店までは魔法舎から多少距離がある。ファウストは賢者に一言ことわりをいれて、ゆうに100を越える巻数の図録を携え返却へ向かうことにした。
ぎょろりと目ばかりが輝く老店主はファウストを一瞥すると、返された図録を一点ずつ単眼鏡でたしかめながら、底意地の悪そうな笑みを浮かべる。
1973革表紙にぼうっと光の文字が浮かび上がり、それは明後日の日付を示している。返却期限であった。貸出期間が30年と比較的長期だったので、忘れないように過去の自分か店主が魔法を施していたのだろう。東の国の路地裏のさらに裏、地下深くにたたずむ古い店までは魔法舎から多少距離がある。ファウストは賢者に一言ことわりをいれて、ゆうに100を越える巻数の図録を携え返却へ向かうことにした。
ぎょろりと目ばかりが輝く老店主はファウストを一瞥すると、返された図録を一点ずつ単眼鏡でたしかめながら、底意地の悪そうな笑みを浮かべる。